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オープニング・ナイトのshabadabaのレビュー・感想・評価

オープニング・ナイト(1978年製作の映画)
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カサヴェテスの関心は常に、演じる身体の限界性を如何にフィルムに刻むかにある。ジーナ・ローランズの顔に刻みつけられたシワがカサヴェテスの関心と換喩的な関係を結んだとき、必然的にそれはバックステージものとして結実した。

だが、この作品の特異な点は、「映画における幽霊表象」が孕む存在論的なパラドクス(「視える/視えない」)を「演劇における演技」が抱える身体の二重性と接続した点だ。ナンシーの幽霊が抱える身体の問題、つまり、視えるか否か、あるいは触れられるか否かといった問題は、そのまま、マートン自身とマートンが演じるヴァージニアの乖離へと継起される。だからこそ、マートンがヴァージニアを演じられるかという問題は、ラストの演劇において、触れられるか否かのゲームとして提示されるのだ。
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