四日市ぜんそくは、学校の教科書でみて何となく公害のひとつという印象しかなかったのですが、そういう方にこそこの映画を観てもらいたい。
公害が人や環境に及ぼす影響。
そしてその責任の所在。
人の命はもちろん、2度と取り戻すことのできないものたちに、誰が、どうやって責任をとるのか。
そもそも、責任を取るつもりがないという恐ろしさも描かれます。
個人的に最もゾッとしたのが、コンビナートを船から観光し、観光客たちが「きれい〜」と口にしながら工場の写真を撮っている場面。
彼らは果たして、この工場たちがそこに住む人々にどのような影響を及ぼしたのかを理解しているのだろうか。
別に彼らが悪いと言っているわけではありません。
人の命までをも奪ってしまうコンビナートの煙突を目の前にして、一方は地獄のような苦しみを味わい、一方はその工場の美しさに心を踊らせる。
それはまるで、このコンビナート企業の恩恵を少なからず受けて生きている私たちを映し出されているかのように感じました。