うなぎ

白蛇伝のうなぎのレビュー・感想・評価

白蛇伝(1958年製作の映画)
3.0
「東洋のディズニーを作った」「宮崎駿がこれを観てアニメの道に進むことを決めた」など様々なうんちくがあるが、今回は内容に絞ってレビューする。

一言で言えば「男女の禁忌の恋愛」を描いた作品である。このモチーフは日本のアニメで反復して描かれ、後の「セカイ系」とも重なる。セカイ系は時代の産物であると同時に、日本だから産まれたイマジネーションなのだ。

もう少し詳しく言及すると、恋愛成就の為に幻影を操り、和尚と闘い、さらには蛇の力を失って人間にまでなった白娘に対し、許仙は特に何もしていない。せいぜい幼少期に蛇を捨てるのを躊躇った程度だ。
つまり究極的に母性が強い作品なのだ。そしてそれは日本の殆どのアニメが受け継ぐことになる。

ディズニー伝統のプリンス・プリンセス物語も禁忌の恋愛ではあるのだが(シンデレラなど)、こちらはひたむきな女性に対して王子が半ばトロフィーのようにすがってくる点がポイントだ。特に王子に対する愛情はない。

日本アニメの母とも言えるこの白蛇伝。その凄まじい射程には驚愕せざるを得ない。
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