BOB

荒馬と女のBOBのレビュー・感想・評価

荒馬と女(1961年製作の映画)
3.7
クラーク・ゲーブルとマリリン・モンローの遺作として知られる、ジョン・ヒューストン監督の西部劇。

"Honey, we all got to go sometime, reason or no reason. Dyin's as natural as livin'. The man who's too afraid to die is too afraid to live."

フィクションと現実が交錯してしまった特別な一作。滅びゆく西部の物語が、ハリウッドの象徴だった2大スターの遺作でもあるということで、大きく心を揺さぶられた。

前半を見る限り、てっきり豪華俳優陣の知名度を生かしたメロドラマかと思っていたが、終盤にかけて作品の印象が大きく変わっていった。時代に取り残され、生きる目的を失ったカウボーイ"Misfits"たちの生き様を描いた物語だった。

未来人から見ると、"生と死"をテーマにしたストーリーは、主演3人のその後を暗示しているようにも思える。クラーク・ゲーブルとマリリン・モンローが肩を組んで未来について話すラストシーンは、涙なしには見られない。

紅一点のマリリン・モンロー。クラーク・ゲーブルの娘、イーライ・ウォラックの恋人、モンゴメリー・クリフトの母親のような役回りで、随分"男にとって都合の良い女"だなとは思った。が、本作のマリリン・モンローは過去作と大きく違い、"マリリン・モンロー演出"こそなされているものの、深い心の闇を覗かせる生きる亡霊のような存在だったので、彼女を"一人の人間"として捉えることができ、感情移入できた。ヒステリックにも映るラストの叫びは、舞台裏の事情まで色々と考えてしまい、心を掻き乱される。

時代とカウボーイだけでなく、男たちと女の価値観も"Miss Fit"だった。生きるために馬を捕獲して売ろうとする男たちと、動物を傷つけること、その命を奪うことが許せない女。

『The Misfits』の中で最も"Fit"していたのは、マリリン・モンローのデニムオンデニムスタイルだったように思う。とても素敵だった。

ダイナミックな荒馬捕獲アクションが圧巻。馬ではなく、飛行機と車を駆使して投げ縄をする光景は、視覚的に新鮮であったし、時代の移り変わりを象徴するシーンでもあった。大迫力のヒトvsマスタング🐎の死闘は、マスタングから"お前らの時代は終わったのだ"と、告げられているようだった。物凄い哀愁があった。

めっちゃ"アメリカの夜"ですやん。どう見ても夜には見えませんやん。

"'How do you find your way back in the dark?"
"Just head for that big star straight on. The highway's under it. It'll take us right home."

"Horse killers! Killers! Murderers! You're liars! All of you, liars! You're only happy when you can see something die! Why don't you kill yourself to be happy? You and your God's country! Freedom! I pity you! You're three dear, sweet, dead men!"

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