TaiRa

喜劇 女は度胸のTaiRaのレビュー・感想・評価

喜劇 女は度胸(1969年製作の映画)
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デビュー作から完璧。渥美清の台詞回し、というかフロウがバキバキ。

『男はつらいよ』と同じ愚兄モノだけど、弟の河原崎健三も別の意味でヤバい奴という塩梅。さくらみたいな聖女はいない。クズの男連中に囲まれながら黙々と内職やってる母親・清川虹子がクライマックスで全て持ってく姿がカッコいい。兄のせいで弟が恋人(倍賞美津子)をコールガールだと勘違いする話だが、弟のそのしみったれた根性を笑いにしつつ批評する。対象的な兄は、全てに無頓着であるが故に、かえって女の人生を問答無用で受け止める事が出来る。勘違い、すれ違いが重なってクライマックスの大集合に繋がる盛り上げ方も上手い。一瞬のギャグの為に、向かいの家に住んでるのが警官という振りを入れておく感じが最高。男は男同士で(バカバカしく)、女は女同士で結論を導き出す。男は可愛く、女は逞しく描くのが森崎東。子供たちが一人ずつ家を出て行き、残された母と父が妻と夫に戻る描写が非常に上手い。ふがいない弟を試す様な恋人の「飛躍」とその結果の見せ方も100点。信頼の獲得を行動に託す描写。恋愛描くならこれは絶対やるべき。
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