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ゴースト・オブ・マーズのnetfilmsのレビュー・感想・評価

ゴースト・オブ・マーズ(2001年製作の映画)
3.8
 自動運転の列車は、灼熱の火星を一直線に走りながら、地上へと戻った。だが乗客は火星警察のメラニー・バラード警部補(ナターシャ・ヘンストリッジ)ただ1人だった。旅の疲れを癒すことも出来ないまま、評議会に呼ばれたバラード警部は、今回の火星のミッションの顛末をゆっくりと語り出す。西暦2176年の近未来、地球は人口増加と食糧難に喘ぎ、地球に住む人々は火星に打開策を求めた。だが天然資源の採掘の為に、犯罪者たちを労働者として働かせる様子は、『ニューヨーク1997』や『エスケープ・フロム・L.A.』の頃と何ら変わらない。炭鉱の街シャイニング・キャニオンでは数多くの鉱石や天然資源が発掘され、街は潤い景気が良いはずだが、どういうわけか夜の街はひっそりと静まり返り、人の姿すら見えない。

 狭い空間に閉じ込められた警察官と囚人、大人数で襲い掛かってくるゾンビのような人々の姿は、カーペンターの出世作となった『ジョン・カーペンターの要塞警察』を想起させる。ディストピアになりつつある近未来の地球から火星へ。夢と野心を持ち、囚人たちはゴールド・ラッシュとユートピアを夢見て星を渡るものの、そこには地球以上に残酷な生活が転がっている。バラード警部補に夢中なジェリコ・バトラー(ジェイソン・ステイサム)や随分あっさりとエスケープするヘレナ・ブラドック指揮官(パム・グリア)もなかなか個性的だが、殺人の濡れ衣を着せられたジェームズ・“デゾレーション”・ウィリアムズ(アイス・キューブ)が『ジョン・カーペンターの要塞警察』のナポレオン・ウィルソンや『ニューヨーク1997』のスネーク・プリスキンのような白人でないところもひたすら胸を打つ。魑魅魍魎の渦の中で、黒人男性と白人女性が今立ち上がる。
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