このポスターと予告編でいったい誰が観るのかと思うし、あからさまに昭和で時計の針が止まっている映画だが、私が観た回では50過ぎの老人主に男性を中心に結構なお客さんが入っており、こういう平和な映画を愛で>>続きを読む
ジャニー喜田川の痛ましい事件を以てしても、ペドフィリアを持ちながら、性加害に加わらずにじっと身を屈めるように暮らしているいわゆるペドフィリア予備軍は恐らくこの世の中には無数にいるはずで、そのような人>>続きを読む
滝田洋二郎の『陰陽師』前後編は一応観たもののまったくノレず、今となっては内容すらほとんど覚えていないのだが、何というか野村萬斎と伊藤英明のやりとりがうすら寒かったことだけは僅かに覚えている。ただ今井>>続きを読む
かつて単行本でタル・ベーラの傑作『ニーチェの馬』という映画を、タイトルの割には大仰な映画と評した山田太一氏の批評眼をもってすれば、あらためてリメイクされた今作を冷静にどう捉えたただろうか?かつて大林>>続きを読む
先んじて言えばオタクには成功も失敗も存在しない。むしろ成功したオタクなら、率直に言って形式的ではなく感覚的にオを重いヲにすべきではないか?オタクではなくヲタク。と言えるディープな階層こそが90年代的>>続きを読む
予告編を観た時点では、J・G・バラードの傑作SF小説『ハイ・ライズ』と今年のイスラム映画祭で再見し、改めて傑作だと思ったマチュー・カソヴィッツの『憎しみ』を足して2で割ったような物語だと思ったのだが>>続きを読む
『The Witch 魔女』とその続編となる『THE WITCH/魔女 -増殖-』の大ヒットが記憶に新しいパク・フンジョンの新作は『The Witch 魔女』トリロジー・シリーズの完結編ではなく、随>>続きを読む
当時今作を観て、相当攻めた脚本とビジュアルだと思ったのだが、再見してもやはり素晴らしい。今のディズニーやピクサーがどう頑張っても作れない感触が今作にはある。それは夢寸前のところでいつも挫折を経験する>>続きを読む
いや~これは欄外から凄まじい映画が現れた。社会学的にもこれは相当な労作ではないか?ジャパン・クオリティが現在も唯一通用する世界線と言えるのがジャパニメーションで、日本に居れば、映画ならずTVにおいて>>続きを読む
ソフィア・コッポラの映画はいつだってガーリーでエレガントでスマートに見える。それは処女作『ヴァージン・スーサイズ』で大人の世界を覗き見た少女の黄昏そのものだ。あるいは『マリー・アントワネット』におい>>続きを読む
いやはや今年で何年目かという春の風物詩にすっかり定着した感のある『劇場版 名探偵コナン』シリーズだが今回は特に豪華な内容だった。とりあえず黒ずくめの組織や烏丸蓮耶とのシリアスな攻防は一旦脇へ置いて頂>>続きを読む
何やら最近『変な家』という映画が流行っているらしく、あっちに期待値MAXで行った人の何割かを根こそぎ釣り上げたいという欲求はよもやないとは思うのだが、今週のやっちまった案件がこちら。いやぁ酷い。想像>>続きを読む
タイトル通り、ニューヨーク、ブルックリンでスランプに陥っていた現代オペラ作曲家である夫スティーブン(ピーター・ディンクレイジ)が、掃除が大好きな潔癖症の精神科医で、パートナーでもあるパトリシア(アン>>続きを読む
孤独で、どことなく寂しくて退屈していた。毎日が暇だったという若い男の独白。それをじっと見つめる刑事の視線。小説家志望の若い男ビル(ジェレミー・セオボルド)は、日々の孤独に耐え切れず、好奇心で街で見か>>続きを読む
冒頭からカラフルでビビッドな背景の中、印象的な文字列が連続して並ぶ。もう本当にセンスの塊のようなアヴァン・タイトルは必見で、これからどんなセンセーショナルな物語が始まるのかとワクワクするのだけど、い>>続きを読む
『ハロウィン』や『エクソシスト』や『ゴースト・バスターズ』のまさかのフランチャイズ・シリーズの華麗なる復活に接し、もはやどの方向から何が来てもおかしくないアメリカ映画2024年の世界線にまさかの『オ>>続きを読む
呪われた一家フォン・エリック・ファミリーの悲劇とは多少ゴシップ的にも語られる40年前の世界線だが、あまりにも不幸な出来事として人々の記憶に刻まれている。80年代に新日派やUWF派ではなく、全日派だっ>>続きを読む
ソウルに暮らす12歳の少女ノラと少年ヘソンは幼馴染で、お互いに恋心を抱いていたが、ノラの映画監督と作家の両親が韓国を離れることになり、はなればなれになってしまう。人間誰しもにある幼い頃の初恋の郷愁と>>続きを読む
『犯罪都市』シリーズも数字を振らずに進み出したことで、『ワイルド・スピード』シリーズと同じようにわけがわからなくなりそうなのだが、1作目は中国、2作目はベトナムで今度の舞台は日本である。ベトナムでの>>続きを読む
LGBTQIA+の恋愛映画に次々に名作が生まれる中、確かにストレート同士の恋愛はすれ違いしかなくて退屈よね、と言わんばかりに韓国では遂に、すれ違う夫婦による風刺の効いたシュールで毒のあるラブ・コメデ>>続きを読む
弁護士の夫の共同経営だか共同参画だかわからないが、心底つまらないその会合の席の喧騒をすり抜ける様に後にした人妻がホテルの外で行われているベトナム反戦デモを目撃する。この一つの場面が予兆する全てを観客>>続きを読む
波が時化るニュージーランドの海に一艇のボートがようやく上陸する。母子は微妙な海の匂いと長旅の疲れに足元もおぼつかない様子だが、女はピアノの行方だけを見据えている。スコットランドからニュージーランドへ>>続きを読む
写真家としてニューヨークで一時代を築いたナン・ゴールディンのドキュメンタリーなのだが、いやはやこれは凄まじい二層構造に心底えぐられた。これは被写体を見つめ、被写体の魅力にフォーカスした凡百のドキュメ>>続きを読む
盟友ハロルド・ライミスの死に一過言あるオリジナル・メンバーたちが、令和ミレニアム世代を盛り立てる為に再度集結する辺りが80年代のブロックバスターを知る世代にも刺さり、思わぬヒットを遂げた『ゴーストバ>>続きを読む
最初にこれを書くのはどうかと思うのだが、あらかじめクリストファー・ノーランの作劇というのは、1回こっきりの鑑賞を前提としていない。観客は一度鑑賞した後、人物の相関関係や時系列の並びを確認するためにも>>続きを読む
通算5回目の鑑賞ながら苦痛の317分にならず、至高の317分となるのは今作と私の感性とが完全にウマが合ったからだろう。4人の女性の受難と連帯の歴史などと言えば聞こえは良いが、それぞれがそれぞれの関係>>続きを読む
非常に評価が難しいというか、今作を否定することによりこれからの未来のある若者を頭ごなしに否定することがあってはならないし、遅ればせながら18歳~20歳の新成人おめでとうございますなのだが、映画そのも>>続きを読む
グローバル資本主義さながらに、米国の諜報活動への抗議デモが広がるヨーロッパ。ギリシャのテッサロニキで反米を唱える女性記者が何者かに銃殺され、遺体で発見される。事件は米政府に批判的なジャーナリストを殺>>続きを読む
この日はシネマヴェーラで蓮實重彦のドン・シーゲルの傑作『燃える平原児』のトークショーを聴いた後、前日に行われた横浜シネマリンでのクレール・ドゥニ監督のマスター・クラスに参加したのだが、ここ数年新宿渋>>続きを読む
原作漫画は未読というか1ページも読んでおらず、ポスター・ビジュアルに惹かれて観に行ったのだが何が何だかさっぱりわからなかった。2人が暮らす街の上空には、3年前の8月31日、突如宇宙から出現し未曽有の>>続きを読む
今作の原作と共同脚本を担当した川村元気氏はもともと有能なヒットメイカーでありながら、自身の作家性はポスト岩井俊二というか、スタジオジブリの『耳をすませば』のような手紙の応答の物語を作る語り手で、前作>>続きを読む
いや~これは本当にビックリした。既に手垢に塗れたはずのタイムループ(タイムリープ)ものながら、まだこんなアイデアが残っていたことに驚きを禁じ得ない。最初は最愛の恋人・唯(山下リオ)を殺された岩森淳>>続きを読む
高校のカーリング部のコーチとして働きながら、穏やかな日々を送るジュヨン(ペク・ジニ )は、かつてアイススケートの元韓国代表選手だった。彼女の下にある日、かつてのアイススケートの同僚だったユラの自殺の>>続きを読む
アメリカ北東部にあるニューイングランドの小さな池。ここで家族と暮らすカモのマックは、子どもたちが寝る前、興味本位で池を飛び出したカモに待ち受ける悲惨な末路の話を繰り返す。マックは池にいれば一生幸せに>>続きを読む
全ては何の繋がりもないようでいて、実はすべてが完璧に繋がっているという驚異の映像世界に挑戦した傑作『悪なき殺人』のドミニク・モルの新作ということで初日に駆け付けたわけだが、いやはや今作も凄まじい傑作>>続きを読む
ダニエル・シュミットの難解なフィルモグラフィの中で、今回はどうしてこの2作が選ばれたのかは私には皆目見当が付かない。然しながら時代の機微を邪推するとすれば、昨年ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー傑>>続きを読む