旧ソ連領のキルギス、タジキスタン、ウズベキスタンの国境が微妙に交わる国境地帯が舞台の映画は、女優を夢見るマムラカット(チュルパン・ハマートヴァ)が知的障害の兄ナスレディン(モーリッツ・ブライプトロイ>>続きを読む
立木文彦氏がナレーションを務めた日本版予告編の「崩壊寸前の油田」「通信手段なし」「何者かが仕掛けた爆弾」「超巨大ザメ降臨」の4点セットが今回は言い得て妙な映画で、確かにその4点セットはしっかり入って>>続きを読む
内戦下のタジキスタン共和国の首都ドゥシャンベでは始終、砲撃音が鳴り止まない。然しながらどこか呑気なドゥシャンベの人々は、川っぺりの草むらで博打に精を出す。そこでは実は命を賭けるような大変な出来事が起>>続きを読む
金属製の煙突が見下ろす埃だらけの街。この街でファルー(フィルス・サブザリエフ)は危ない仕事に手を染めている為、弟とは暮らせないと思い立ち、遠くに暮らす父の元へと弟を預ける決心をする。最初に友達に渡し>>続きを読む
オリジナルは言うまでもなく、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーの傑作『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』だが、女性同士の室内劇を男性同士の室内劇に置き換えている。フランソワ・オゾンはそれだけに飽き足>>続きを読む
メーサーロシュ・マールタ映画にしては珍しく(と言っても5本しか観てないが)、映画はアヴァン・タイトルの時点で2つの事件をヒロインに投げ掛ける。1つは工員寮のリーダーを務めるマリ(マリナ・ヴラディ)の>>続きを読む
日照り続きの群馬・前橋の夏。市の水道局に勤める岩切俊作(生田斗真)は後輩の木田拓次(磯村勇斗)と二人一組で、水道料金滞納者の家庭を一つ一つ訪ね歩き、本人の同意を踏まえた上で停水する。まぁはっきり言っ>>続きを読む
ヒロインはある日バイクを盗まれる。半狂乱に陥ったヒロインの姿はダルデンヌ兄弟の『ロゼッタ』のように、手持ちカメラの忙しない動きで明示される。まるで自分の手足を奪われたかのような切実な怒りや鼓動が彼女>>続きを読む
2010年。自給自足の生活を送るキリスト教一派の村で連続レイプ事件が発生する。いわゆる#metoo運動以降の世界線といえば宜しいだろうか?男尊女卑が叫ばれるこの村ではこれまで女性たちは、それを悪魔の>>続きを読む
これは家族の物語というよりは、ある学校で起きた「いじめ」に関するそれぞれの見解を当人あるいは家族や教師の立場から浮かび上がらせた映画ではないか。一つの出来事が別の視点で据えられた時、そこには他人には>>続きを読む
1936年、裕福な暮らしを送るスィルビア(モノノ・リリ)は不妊症に悩んでいるが、老い先短い父は彼女に子供と家柄の存続を託し、静かに命を引き取る。彼女には貧乏な家柄の親友イレーン(イザベル・ユペール)>>続きを読む
東欧であろうが日本であろうが、高度経済成長期の工場は24時間フル稼働で動き続け、工場員たちが大量に働く。川崎や四日市のような工業都市を思い出すような雪で凍てつく工業都市オーズドにある大窯工場にユリ(>>続きを読む
荻上直子の新機軸と呼ぶべきか、深田晃司の『淵に立つ』を観て魂の震えた者のこれ以上ないアンサーとも呼ぶべきか。物語は極めてシンプルで単純だ。旦那と息子と何不自由のない生活を送る須藤依子(筒井真理子)だ>>続きを読む
工場勤務の未亡人カタ(ベレク・カティ)は43歳で、いつも軽作業中の冴えない表情が印象的だ。大工の娘である彼女は腕にもしっかりと筋肉が付くほど鍛えているのだが、人生の折り返し地点手前で急に子供を身篭り>>続きを読む
TV版ドラマは未見で、大丈夫かなと思ったが漫画家・岸辺露伴(高橋一生)と助手の泉京香(飯豊まりえ)の関係性も複雑ではなく、基本はこの2人を中心に物語が進む構造で何とか入っていけた。特殊能力のヘブンズ>>続きを読む
メーサーローシュ・マールタの映画ではしばしば工場労働者の勤務シーンで始まる。高度経済成長期のハンガリーの工業の発展を謳うように、工夫たちの肉体労働する姿をカメラはドキュメンタリー・タッチで追いかける>>続きを読む
ネヴィン(クロエ・コールマン)と戯れた時点では私はてっきりその任務がこちら側からあちら側だと思ってしまい、それなのにNASAすら出て来ないのは製作陣はあまりにも怠慢で、SF映画をわかっていないと思っ>>続きを読む
冒頭のフランセス・オーステン(サンディ・デニス)の歩き方は何かしら寄る辺なき思いを抱えた未亡人の寂しい歩行に見える。メロドラマ的には恋に破れ、新たな別の恋を受け身に待つ女性にも見えて来る。然しながら>>続きを読む
2018年の作品なので、何というか先週のピカデリーでの限定上映を観直して本当に良かった。とりあえず前作最高の立役者であるジャユン(キム・ダミ)は出て来ません。いや一応は出て来るんだけど本線からは一歩>>続きを読む
まぁ何というか観るたびにコロコロと観たイメージが変わり続けるというか、一定しない映画ではある。思春期に初めて観た時には何が何やらさっぱりわからなかったのだが、今観ると随分小慣れてきて多少わかるように>>続きを読む
いきなりスクリーンの音響にDr.Dreの『The Watcher』が流れて思いっきりぶち上ったのだが、LAへの帰郷=G-FUNK的なハスリングがアドニス・クリード(マイケル・B・ジョーダン)をもう一>>続きを読む
陽光煌めく中で普段は一緒に暮らしていない父カラム(ポール・メスカル)とずっと一緒だったソフィ(フランキー・コリオ)の思い出はヴァカンス旅行でバッサリと切られている。31歳になる2日前だからこのヴァカ>>続きを読む
人体実験やロボトミー手術、人造人間を作った管理社会である日、突然奇跡のような確率でエラーが発生し、ターゲットの逃亡から一躍追われる羽目になるというのは20世紀のSF映画や戦隊映画で何度も見られたテー>>続きを読む
おぎやはぎの矢作とPUNPEEを足して2で割ったようなメガネ面の何だか冴えない主人公が、僻地に住む美女5人から次々に求愛される物語ということで宜しいか?香港版『モテキ』とも呼ぶべき物語は、冴えないの>>続きを読む
今年のイタリア映画祭のメイン・イベントがこれ。ゴールデン・ウィークの最終日に開催された今作の上映は13時ちょうどに始まり、まず前半2時間45分を観劇した後、30分の休憩が入り、その後残りの2時間45>>続きを読む
香港のプリンス・エドワード地区にある金都商場(ゴールデンプラザ)。ショッピング・モールを歩くフォン(ステフィー・タン)はペットショップの軒先で甲羅が見事にひっくり返った亀を見つける。実は彼女の人生そ>>続きを読む
土地への名残り惜しさを残しながら、海鳥たちが辺りを飛び交う様子を尋常ならざる時間を使いながらカメラがじっくりと据えた『家からの手紙』から12年、今度は逆にフェリー上からマンハッタンのビル群の様子を映>>続きを読む
まぁ何とも論じようがない映画というか、荒唐無稽なショート・コントを2時間分作って繋げました的な映画。というかこれが映画として撮られるべきなのかという疑問も必然的に湧いて来る。これならテレ東の深夜に帯>>続きを読む
冒頭の激しい風に見舞われる木々のショットの揺れが何か尋常じゃないほどに作家の感情を震わせる。観る側としてははっきりと「長ぇよ」と思うものの、次のショットでは肥満男の無邪気で平和な背中を映し出す。次の>>続きを読む
現在のLGBTQIA+の世界と昭和の頃の新宿三丁目の空気とは何もかもが違う。それはもう彼らの在り方から周りの理解度まで現在の世界線と50年前の空気とでは同じ国とは思えないほどまったく様変わりしている>>続きを読む
ひょっとするとこれは、と思ったものの、いつもやっぱりひょっとしないブラムハウス・プロダクションズあるある最新作もやっぱりひょっとせずなのだが、これは幾ら何でも酷いと思った。あのポスターを見た時点で悪>>続きを読む
猛烈な雨の中、走り出した主人公がうっかり人を轢く場面まではまったく問題がなく、これはオリバー・ハーマヌス×カズオ・イシグロの『生きる LIVING』のようなある程度オリジナルに忠実なリメイクなのかと>>続きを読む
いよいよワイスピ最終章のアナウンスもあったものの、私はまったく信用していない。ユニバーサル映画もこれだけのドル箱映画に育て上げたシリーズをそう簡単に手放すとは考えられない。だがヴィン・ディーゼルも御>>続きを読む
寂れた田舎町で互いを最高の相棒と認め合う妻レティ(ミシェル・ロドリゲス)と、元カノの幼い息子のリトルBことブライアンと静かに暮らしていたドム(ヴィン・ディーゼル)だったが、平穏な日々はそう長くは続か>>続きを読む
母の葬儀を抜け出した殺人課の刑事コ・ゴンス(イ・ソンギュン)は喪服のまま、車で警察署へ向かっていた。急遽殺人課に監査が入ることになり、ゴンスは横領の証拠を隠そうとしていたのだ。悪い時に悪いことが重な>>続きを読む
『左様なら今晩は』や『牛首村』の萩原利久くん見たさで思わずスクリーンに飛び込んだものの、ごめんこれは合わなかった。流石にマーガレットコミックスの少女漫画原作の映画は私には無理だった。4歳のときから隣>>続きを読む