netfilmsさんの映画レビュー・感想・評価

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季節のはざまで デジタルリマスター版(1992年製作の映画)

3.8

 ダニエル・シュミットの難解なフィルモグラフィの中で、今回はどうしてこの2作が選ばれたのかは私には皆目見当が付かない。然しながら時代の機微を邪推するとすれば、昨年ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー傑>>続きを読む

ビニールハウス(2022年製作の映画)

3.6

 予告編ではホン・サンス映画を配給するミモザ・フィルムスの「半地下はまだマシ」というコピーライトが盛んに喧伝されるものの、マジレスするとビニールハウス在住はポン・ジュノの『パラサイト 半地下の家族』に>>続きを読む

変な家(2024年製作の映画)

3.2

 まずは今作でも重要な役を演じた佐藤二朗氏に対し、吉田鋼太郎氏、香川照之氏、ムロツヨシ氏を引き合いに出しながら、私が過去作で「演技がとにかくうるさく、物語が入ってこない。日本映画の悪癖」と書いたかつて>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.1

 何せ毎日新作を観ているもので、2年半前の『DUNE/デューン 砂の惑星 Part1』のことは申し訳ないが殆ど覚えていなかった。開き直りというか居直りで予習せずに劇場に訪れてしまったのだが、然しながら>>続きを読む

アバウト・ライフ 幸せの選択肢(2023年製作の映画)

3.8

 2組の中年カップルの様子が何やらおかしい。ハワード(リチャード・ギア)はニューヨークの高級ホテルで、ネグリジェだけのたわわな体で迫るモニカ(スーザン・サランドン)の肢体に殆ど関心を示さない。一方、映>>続きを読む

コットンテール(2022年製作の映画)

3.8

 冒頭、男は現実に起きた悪夢のような出来事を拭い去ろうと、失意のあまり酔い潰れる。その壊れ行くリリー・フランキーの姿に魅了される。リリー・フランキーと言えば主人公であれ端役であれ、ほとんどの映画におい>>続きを読む

デ ジャ ヴュ デジタルリマスター版(1987年製作の映画)

4.3

 今作は10年程前に今は亡きオーディトリウム渋谷で初めて観て何が何やらさっぱりわからなかったのだが、10年ぶりのリベンジとなった今回もやはりさっぱりわからなかった。然しながら陶酔的で悪魔的な映像体験に>>続きを読む

PLAY! ~勝つとか負けるとかは、どーでもよくて~(2024年製作の映画)

3.7

 サブ・タイトルでもう「勝つとか負けるとかは、どーでもよくて」と言っている時点で、Eスポーツを単なるスポ根ものにする気はさらさらないと言うか、勝負の成果よりも3人の思春期の少年たちの心の成長に焦点を当>>続きを読む

悪なき殺人(2019年製作の映画)

4.2

 5年前に確か『動物だけが知っている』というタイトルだったものが3年前に『悪なき殺人』とタイトルが刷新され封切られ、3年ぶりに観たのだがやはり素晴らしい。冒頭、アフリカ人が鹿を背中におぶり颯爽とバイク>>続きを読む

ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)

3.2

 中国のベストセラー作家ズー・ジンチェンの小説を映画化したクライム・エンターテインメントであり、香港の映画会社の出資ということで日本映画よりもおそらく制作費は潤沢だと思われるが、とにかく作品内容が暗い>>続きを読む

DOGMAN ドッグマン(2023年製作の映画)

3.9

 もはや製作総指揮でクレジットされることが大半を占めるリュック・ベッソンの新作だが、その画面の汚さにまずは驚いた。もう何と言うか『フィフス・エレメント』の頃の映像の美しさよりも人生の苦悩が滲むような黒>>続きを読む

このハンバーガー、ピクルス忘れてる。(2023年製作の映画)

3.8

 傑作『違う惑星の変な恋人』と地続きな映画ということで当然フォローしていたのだがなる程、今作があって複雑な脚本を従えた名作『違う惑星の変な恋人』が生まれたんだと実感した。言い得て妙な深夜のテレビ東京ド>>続きを読む

ヴェルクマイスター・ハーモニー 4Kレストア版(2000年製作の映画)

4.2

 そもそもタル・ベーラの映画だから起承転結のある映画など望むべくもないのだが、初日に観てさっぱりわからず1週間感想を放置し、昨夜2回目を観たがさっぱりわけがわからない。クジラの目は兎も角としても、プリ>>続きを読む

FEAST -狂宴-(2022年製作の映画)

3.6

 観終わってこれが『キナタイ マニラ・アンダーグラウンド』や『ローサは密告された』のフィリピンの巨匠ブリランテ・メンドーサ監督の作品とは俄かに信じがたいと感じたのが第一印象で、唖然としつつも果たしてこ>>続きを読む

ポーカー・フェイス/裏切りのカード(2022年製作の映画)

3.3

 芝居の巧さに関しては私も一定以上のリスペクトをしているラッセル・クロウの2本目の監督作ということでワクワクした気持ちで劇場に駆け付けたのだが、開巻早々何ともおかしい展開に肝を冷やす。その幼少時代の回>>続きを読む

すべての夜を思いだす(2022年製作の映画)

4.2

 これもまた非常に難解な映画であるが一目見た時点で、禁欲的で大変崇高な映画だと感じる。固定カメラで長回しで切り取られた風景には、東京の多摩ニュータウンの草むらや森林が顔をだすのだが、その無人ショットに>>続きを読む

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)

3.6

 原作は未読だが、本屋大賞を受賞した作品だと聞いてある程度の担保になり得るかと期待したが、私の目論みは見事に打ち砕かれた。ある傷を抱え、東京から海辺の街の一軒家に移り住んできた貴瑚(杉咲花)という女性>>続きを読む

ARGYLLE/アーガイル(2024年製作の映画)

4.0

 突然ミルクボーイの内海のような角刈りで決めたアーガイル(ヘンリー・カヴィル)が「ほな、コーンフレークと違うか。」とは言わないまでも、彼が登場した時点で興奮度MAXであったと申し上げたいマシュー・ヴォ>>続きを読む

ネクスト・ゴール・ウィンズ(2023年製作の映画)

3.5

 あれだけ病んだマイケル・ファスベンダーなのにディズニーかよと思いながら、その捻じれたマッチングにサムシング的な何かを感じた私は全力で映画館に飛び込むのだが、毒にもクスリにもなり得ない劇映画を104分>>続きを読む

コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)

4.0

 2018年、アフガニスタン。米軍のジョン・キンリー曹長(ジェイク・ギレンホール)は、タリバンの武器や爆弾の隠し場所を捜索する部隊を率いていたが、その作業には終わりが見えない。ジェイク・ギレンホール>>続きを読む

マッチング(2024年製作の映画)

3.2

 終わった直後、どうしてこうなってしまったのかと思いながら、首を傾げてしまった。そのくらい何もかもがダメで、話にならない。そもそもマッチング・アプリにはそれ相応の代償が求められるというアイデアそのもの>>続きを読む

ソウルメイト(2023年製作の映画)

3.9

 台湾のオリジナル版を観たのは確か2021年だったと思って今調べたら、作品は2016年だったようでびっくりした。当時から5年を経ての日本公開だったわけだ。極めてラノベ的な女同士のシスターフッド的な友情>>続きを読む

ハンテッド 狩られる夜(2023年製作の映画)

3.9

 『ハイテンション』やウェス・クレイヴンの『サランドラ』をリメイクした『ヒルズ・ハブ・アイズ』でお馴染みの、世界一性格の悪いアレクサンドル・アジャが製作総指揮に名前を連ねているということで期待して観に>>続きを読む

マダム・ウェブ(2024年製作の映画)

3.8

 マーベル初の本格ミステリー・サスペンスという予告編の謳い文句がそもそも難ありで、これはMCUシリーズのフェイズ5に位置するマーベルの堂々たる新作ではなく、あくまでスパイダーマン及びSSUの世界観の中>>続きを読む

ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争(2023年製作の映画)

4.2

 最初は確かホームページには20分で特別料金1600円と書いてあった気がしたが、今日行ったら1000円均一だったし、蓮實重彦や菊地成孔にコメントを貰ったはいいもののパンフレットの販売は突如の中止で、何>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.2

 フランスの人里離れた雪山の急斜面にひっそりと佇む山荘。自宅で学生からインタビューを受ける妻はご機嫌だが、3階で屋根裏部屋のリフォームをする夫の姿は見えない。然しながら50CENTの『P.I.M.P.>>続きを読む

ジェントルマン(2021年製作の映画)

3.5

 ジェントルマン=紳士らしく行こうとのことなのだが、物語の語り口があまりにも下手過ぎて、クエンティン・タランティーノにもガイ・リッチーにもなり切れていない。ごく小粒の印象に収まる。依頼された事件は10>>続きを読む

レディ加賀(2023年製作の映画)

3.7

 昭和な親方がドヤ顔で呟きそうな今作のダジャレ的なタイトルには流石に困惑したのだが、10年くらい前から石川県には実際にこういう名前の旅館の女将たちによるプロモーションチームがあると聞いて納得した。肩の>>続きを読む

THEWILD 修羅の拳(2023年製作の映画)

4.0

 違法賭博場での試合中に、誤って相手を殺害したことによる8年の刑を終えた元ボクシング選手のウチョル(パク・ソンウン)。釈放後は静かに暮らしたいと考えていた彼を刑務所の外で待ち受けていたのは、古くからの>>続きを読む

WILL(2024年製作の映画)

3.5

 例え取り返しのつかない罪を犯したとしても、やはり一発レッドカードな社会は精神衛生上もシステム的にも心情的にもよろしくない。再生するチャンスを与えて欲しい。人は罪を犯す生き物だから、誰だって必ずや間違>>続きを読む

ミレニアム・マンボ 4Kレストア版(2001年製作の映画)

4.0

 トンネルのような陸橋の通路を女は右手に煙草を持ちながら颯爽と歩く。時に手を振りながら煙を吐き、後ろを振り返ってみせる女の姿は、21世紀の幕開けを高らかに告げる。リー・ピンビンの手持ちカメラは、そんな>>続きを読む

梟ーフクロウー(2022年製作の映画)

3.7

 鋭利なピックが目に突き刺さる寸前のポスター・ビジュアルを見て、私はてっきりホラー映画だと思ったのだが騙された。実際は朝鮮王朝時代の記録物『仁祖実録』に記された怪死から着想を得た王朝サスペンスで、ショ>>続きを読む

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

4.3

 いや~これはあまりにも壮絶で面食らった。そうとしか言いようがない圧倒的な179分間で、フェリーニの『8 1/2』やキューブリックの『シャイニング』が大好物の人は是非、足を運んでもらいたい。それが生理>>続きを読む

雨降って、ジ・エンド。(2020年製作の映画)

4.0

 ビクトル・エリセが31年ぶりならこちとら群青いろも17年ぶりの新作で、映画の流れに身を置く者ならば、2024年に舞い降りた奇跡を全力で受け止めるしかない。派遣バイトの日和(古川琴音)は、自分の写真を>>続きを読む

一月の声に歓びを刻め(2024年製作の映画)

3.8

 最初から結論めいた言葉を述べると、三島由紀子監督の記念すべき10本目は実はここから彼女自身のフィルモグラフィが始まらなければバランスが保てなかったのではないか?幼少期の苦々しい記憶と現実とのバランス>>続きを読む

ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ(2023年製作の映画)

3.6

 前半部分の流れにこれはひょっとしたらと思いながらも、終わってみれば今回もやっぱりひょっとしなかったねというのは私のブラムハウス・プロダクションズ映画あるあるで、A24が圧倒的なアート映画とホラー映画>>続きを読む

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