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グッドフェローズのTPのネタバレレビュー・内容・結末

グッドフェローズ(1990年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

★1990年に続き2回目の鑑賞★

 まずは、レイ・リオッタ(ヘンリー)とジョー・ペシ(トミー)のド嵌り感が映画の質を上げている。
 リオッタは睫毛が長く麗しい目元をしていて、当初はあまり暴力沙汰は好まない好漢然としていたのに、段々と破滅的な人生を送ることになる落差を自然体で且つ説得力を持って表現。
 ペシは怒らせたら何をしでかすかさっぱりわからないという近づきがたい暴れん坊を熱演(デ・ニーロとは「レイジング・ブル」と対比的な役柄を演じている)。この二人がすごすぎて、デ・ニーロ(ジミー)の影が薄くなるほど。
 あと、主人公の妻を演じたロレイン・ブラッコ(アカデミー助演女優賞ノミネート。デボラ・ウィンガーによく似ている)も好演。

 物語はイタリア系マフィアの犯罪から、ヘンリーたちが個別に行った麻薬取引、現金強奪へと移っていく。その描き方がスピーディで、でも混乱させることなく整っていて、使われる著名な音楽も効果的。
 普通のマフィア映画としてもよくできているが、本作が他と一線を画すのが、本作の主題とも思われるイタリア系マフィアの中のアイルランド系の悲哀を描いている点。
 アイルランド系のジミーとヘンリーは仲間内での地位は高いがどうしたって幹部にはなれない。そのため地位が高くなればなるほど疎外感を感じざるを得ないし、自分自身の商売を持たなければならず、結果として、マフィアのボスに禁じられていた麻薬に手を出すことになる。
 ヘンリーは家族とうまくいかなくなっていくし、暴力にも手を染めていくようになる。
 そんな閉塞感が急ともいえる最後の密告と身分をなくして僻地で生活する、収まるべきところに収まったというヘンリーの人生の描写が特に印象に残る。

 30年前の封切時に観た時は、絶対にこんな映画に描かれる人生を送ることはないとわかってはいても、ハチャメチャで自分の好きなことに突き進む人生には憧れを抱いたもので、50歳を超えた今ではやはりその部分の共感というか衝撃はなくなってしまうため若干評点は落ちてしまうが、間違いなくマフィア映画でありつつその枠にはまらない映画としても傑作と思う。
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