うに

グッドフェローズのうにのレビュー・感想・評価

グッドフェローズ(1990年製作の映画)
5.0
映画館でも、DVDでも数え切れないほど見た大好きな本作を改めて

これぞギャング映画の傑作、そして私の一番大好きな監督であるマーティン・スコセッシの代表作だと個人的には思います。

マフィア、ギャングものと聞くと多くの人が思い浮かべるのは、公開から50年経った今も多くの人に衝撃を与え続けている「ゴッドファーザー」だと思いますが、主人公の栄枯盛衰を描くという点では同じですが、本作はよりリアルなギャングを描いた作品となっており、両作とも負けず劣らずの傑作です。

前述の通り、ちょっと小馬鹿にされただけで撃ち殺すことやいくら有能でもイタリア系でないと幹部になれないなど、裏社会の人間ならでは….といったリアルなギャングの暴力で満ち満ちた裏社会をこれでもかと描き、テンポの良い展開に、スコセッシのセンスが光る絶妙にマッチした音楽に加え、圧巻の演技で物語を彩る主演のレイ・リオッタ、まさに狂気という言葉通り、まるで本物のギャングのような怪演を見せるジョー・ペシ、そしてスコセッシ作品を語る上で欠かすことのできないデニーロがこれまたかっこよく、かつ恐ろしい、そんな素晴らしい演技を3人共が見事に演じてみせる。

音楽やテンポの良さだけでなく、魅力的なキャラクターも多く、相変わらずスコセッシはそれぞれキャラ立ちさせるのが上手いなと思わされますし、思わずニヤリと笑みがこぼれてしまうほど、タバコを吸うだけのシーンがあまりにもかっこいいデニーロであったり、当たり前のように刑務所でワインを飲み、料理をするシーンであったりと最初から最後まで飽きることなく物語に没入できるという点においても、ゴッドファーザーを除く他のギャング作品とは一線を画しているのではと個人的に思います。

ギャング映画の金字塔、ゴッドファーザーが物語らしい物語であるのに対し、本作はスコセッシ自身の実体験もあってか、リアルな裏社会がそっくりそのまま映画になったかのようなリアリティを追求した作品であり、ギャングのボスでもなければ、幹部でもない、さらに言えば、イタリア系でないため幹部になることも不可能といったあくまで下っ端の視点から裏社会を描くことで、口封じのために次々に関わった者を消していく様や元堅気の主人公ヘンリーがなろうとしてもなれない、人を殺すことを躊躇いもしない根っからのギャングであるジミーやトミーといったキャラクターをヘンリーと対照的に描写することで組織犯罪の闇深さや裏社会の不条理さを極めて観客に近い視点から追体験させることが出来ている。

胸を張って大好きと言える作品ですし、何十回、何百回と見ていながらも未だに最低でも月に何度かは見直すほどで、映画の中でもギャング、マフィアものが特に好きな理由の一つ、そして遅かれ早かれデニーロとは映画を見ていく以上、どこかの作品で出会うことにはなりますが、中学生になりたての頃、本作でロバート・デ・ニーロという役者を知った時の衝撃といったらもう言葉にできません。
それから狂ったようにデニーロ出演作を漁るようになりましたが、次元が違う演技力の高さはもちろん、やっぱりかっこいいですねこの人、本当に……

スコセッシもデニーロもアル・パチーノもジョー・ペシもみんなそれぞれいい歳なので、少しでも長生きしてもらい、1本でも多くの作品を見れたらと願うばかりです。
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