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アトランティスのこころの福福吉吉のレビュー・感想・評価

アトランティスのこころ(2001年製作の映画)
4.0
◆あらすじ◆
11歳のボビーは父を幼い頃に失くし、母のリズと2人で暮らしていた。彼らの家の2階に新しい下宿人のテッドがやって来る。ボビーはテッドと仲良くなり、彼と多く接するようになったが、彼には多くの秘密があった。

◆感想◆
少年と不思議な力を持った老人の親友として過ごした時間を描いた作品となっており、あくまで少年と老人の心の交流する様子が主眼であり、老人の持つ不思議な力はストーリーの飾りに過ぎないと思います。

ボビー(アントン・イェルチン)は心優しい少年であり、母のリズの浪費癖のために貧しい暮らしながらも友人のキャロルやサリーと仲良く平和に過ごしていました。ボビーは本当に好感の持てる少年であり、その心優しさはとても魅力的でした。しかし、優しさゆえに本当の気持ちを吐き出せない部分も見えてきて、もう少しワガママでも良いかなとも思いました。

テッド・ブローティガン(アンソニー・ホプキンス)は物静かな老人で、その穏やかなまなざしが印象的でした。テッドとボビーが仲良くなるのは当然の流れのように感じました。テッドの話し方はとても優しく、誰に対してもフェアな立場で話していて素敵でした。

テッドはストーリーの中で、相手の心の中を読んだり、未来を見たりする力を見せますが、それが至って特別なように描かれておらず、自然な流れでストーリーが進行しています。そのため、その力の正体など本来気になる部分があまり気にならず観終えることができました。

本作で一番煩わしい存在として描かれていたのがボビーの母のリズ(ホープ・デイヴィス)でした。1人で家計を支えていることは立派なのですが、息子のボビーに対してひたすら我慢を強要しているように見えて仕方がなかったです。そして、ボビーに父親のことを悪かったように吹聴している部分も駄目だと思います。終盤にボビーがリズに対して本心を吐露したことで彼女の考えも変わったものと思いたいです。

観ていて劇的な部分は少ないのですが、少年時代を思い出させるような懐かしい雰囲気に包まれる作品で、観終ってとても気持ちが良くなりました。派手な作品も良いですが、本作のような地味だけど心が温かくなる作品も好きです。

鑑賞日:2023年12月26日
鑑賞方法:CS ムービープラス
(録画日:2023年1月10日)
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