いっさいの説明は排しているので、ドレスやネクタイの変化から時間の流れをおっていく。
物陰から覗くようなカメラワークに、2人だけの世界を覗き見しているような感覚になるので、2人は伴侶に不倫されている被害者なのにどこか背徳めいた感情がわく。
練習をする夫人が泣いたのは、夫への情の涙かとはじめは思ったが、ゆくゆくにチャウへの涙だったのではないかと思い返す。
どうして夫人はシンガポールに行ったのか?車で手を握るシーンは一線を超えたと捉えてよいか?子供と2人で住んでいるというところから、その子供は夫との子ではなくチャウの子供で、シンガポールのチャウの部屋に行ったのはそれを伝えたい葛藤があったからか。
伝えなかったのはなぜか。
大人の恋愛は難しい。静かで、理性的で、思慮深さが伝わった。