もうほんと凄いよな、ってずっと心の中で呟いてたよ。いや、もはや声出してました。
ストーリーはいつだって曖昧でなのに絶妙で好みど真ん中すぎるのです。すっきり爽快なんてものとは程遠い、人間らしさが詰まっててもうほんと好きしかない。
カメラもこんなに決め決めな絵ばかり撮って喜んでるやろうなっていうぐらい全てのアングルがもうそれ以外ないですよねっていうハマり方で。60年代の香港の密集した、それなのになかなか触れ合わない絶妙なチラリズム映画。ずっとね、二人の恋模様を覗き見してるような距離で物語は進むから直接的な表現なんてないのにずっとドキドキする。こんな色っぽいことある?
魅力的な男と、魅力的な女がそこにいたらもうそれ以外何もいらないですよねという寄りアングル。トニーレオンとマギーチャンの素敵さといったら。ため息だよほんと。
ブエノスアイレスの時も心底心掴まれたのだけど、ウォン・カーウァイ監督の車のシーンがほんと好きすぎて。自分の語彙力のなさが悔やまれるけれど、トニーレオンを車の後部座席に座ってるところ、わたし一生見てられるやつです。
香港のあの狭さとか、あの文化とか、あの湿度とか全部ぴったりでずっと恋焦がれそう。あぁ。
お互いにパートナーに裏切られて少し寂しい隙間にあなたと目があって恋に落ちる。不倫なんて言葉で片付けられないプラトニックな二人の時間に終始見惚れて、あっという間に終わったよ。足元しか写さないとか、腰回りしか写さないことのやられた感。
あぁ、好き。