Youtuki

ヒミズのYoutukiのレビュー・感想・評価

ヒミズ(2011年製作の映画)
4.4
原作を読んだのはだいぶ前なので映画化となった本作との見比べはほとんどしないまま鑑賞しました。
本作の登場人物はどれも「底辺」の人物ばかり、この辺は最近見た「ウインターズボーン」と「フローズンリバー」に近いものがあり、かくゆう私自身も幼少期の生活がひどく、彼ら同様「親が子供」であるがゆえの苦労と孤独というのを味わっているので本作もかなり共感してしまいました。
震災による「不幸」もそうかもしれませんが「環境による不幸」もこれまた生まれた当初からなので当の本人は「自分が不幸だ」と言うことに気づいてないんですね。私なんて30歳すぎて気づいた位ですから。まぁ私のことは置いといても、震災と掛け合わせるなとか、ラストが甘っちょろいとかおっしゃる方もいらっしゃいますが、本当にそういう経験しちゃうとそんな事言えませんて。映画の中だけでもいいから、住田だけでいいから救われたいって思います。だから本作は震災にあわれた人、過去の環境が最悪な人を応援する映画だと思いました。

本作の浮浪者(被災者)の存在、これは原作にはないものだと思いますが住田が父親やヤクザに殴られている時に「やめろ!」と言ってきてくれます。あれは見ていて救われました。自分のときはそういう人はいなかったので。多分監督自身も原作どおりの進行では耐えられなかったのだと思います。
私には本作にでてくる住田を助ける人物たちがいてほしいと思います。それは自分を助けてくれる人がいなかった過去への「希望」というか「願い」というか「過去の自分を救いたいという感情」だけだと思いますが。どうも住田を見ていて過去の自分とシンクロする節が多く、住田には彼らがいてくれてよかったなと心から思ってしまいました。

最後のひとつだけ。主演者の演技も素晴らしかったですが、窪塚の演技はやっぱりいいですね。「妖怪だと思った」という言葉も好き(笑)映画レビューらしいレビューになってなくてすみません。本作は感情が入りすぎた。。。
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