maki

ペーパーバード 幸せは翼にのってのmakiのレビュー・感想・評価

3.8
スペイン内戦で妻子を失った喜劇役者のホルヘが、相方エンリケと、相方が引き取った孤児のミゲルと共に暮らし、舞台に立ち続けるお話。

わたしはこの時代のことには無知だったけれど、スペインでは終戦後もフランコ独裁政権のもと言論統制が行われ、共和派支持者には厳しい弾圧が行われていた。政権側は疑わしい人物をリスト化し、監視していたらしい。
厳しい時代にあってもユーモアと誇りを失わず、力強く生きた人々の人間模様が描かれる。
中盤は巡業の様子などがメインで、大きな展開はないけれど、美しい音楽や時折挟まる笑いなど、良い要素がたくさん散りばめられている。
終盤に差し掛かるとそれまでとは一転、サスペンス色が強くなり、緊迫感のある一触即発な展開に。
いろいろな過程を経て辿り着くラストは涙もの。

亡くした息子を思い出させることから、最初ミゲルに辛く当たっていたホルヘが、次第にミゲルを受け入れ、芸を仕込み、徐々に芽生える師弟愛ならぬ親子愛。
彼らの芸も見所で、ホルヘとエンリケとミゲルの舞台は、愛嬌たっぷりで実に微笑ましい。
カルメン・マチ演じるロシオの歌と踊りも、お色気たっぷりで印象的。
ラストカットの馬車に揺られ、楽しげに話す3人の姿が本当にすきです。
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