るう

SHOAH ショアのるうのネタバレレビュー・内容・結末

SHOAH ショア(1985年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

お恥ずかしい感想なんですが…今まで「なんでこんなことがおきちゃうのか?・・・」って漠然と思ってたんだけど、ヨーロッパ大陸全土からユダヤ人絶滅処理場(収容所なんて言い方なまぬるい)へ送り込まれていたことや、知っていたが何もしなかった(できなかった)当該現地の人達の証言が「可哀想だが何もできなかった」から「ユダヤ人はよそ者だ」「ユダヤ人が来てから仕事が無くなった」「よそ者なのにいい生活してる」まで様々、トータルして1人1人の個人レベルはともかく、ユダヤ系人種に対してあんまりよく思ってなかったという下地ががっつりあった・・・というのが、よく考えりゃ当たり前なのかもしんないけど、とにかくよくわかりました。これが普通の人達の証言だもんなぁ…。土地と人種の問題(=血統~宗教の問題)が原因の争いごとが延々と続いているのが人類の歴史なんだとしたら、「嫌韓!反中!」とかでかでかと言っちゃう今の日本ってやっぱり怖いと思った。自分も「反日反日って…も~こっちも反韓になっちゃうぞ!」って思った瞬間はあるし、その時は当然個人の顔が浮かんでるわけでもなく、それってすごい恐ろしいことで、これから自分の中に見つけたらひとつずつ丁寧につぶしておかないとって肝に銘じたわ…。あとは変な輩が権力持たないように気を付けていく事くらいしか、被害者にも加害者にもならない方法はないということかな…怖い…。
あと…この映画に色々是々非々あるのは承知で観た。わかってるだけで140万人全員拷問死という事実を前に、「元SSの人権大事ですよね」って正直思えなかった。内容が内容なのもあるけど(勿論そこに編集という監督の意志が加わっていることも承知だし、問題がないわけでもクリアになったわけでもないだろうけど。亡くなればそれでいいって話でもないだろうし)。ランズマン監督の声に怨念のようなものを感じるんだけど、それ聞いた後では内容に関して何言う気も起きないというのが素直な気持ち。正しくはドキュメンタリーではないのかもしれないが、あたしにとってはこれ観たことでのプラスが大き過ぎた。労力は要るが、できるだけ多くの人に観てほしいと思う。上映して下さった方々に感謝ます。でも関係者側から、是々非々の部分での若干の説明があってもいいのかなって気もした。素晴らしいからこそ。
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