SHOAH ショアの作品情報・感想・評価

SHOAH ショア1985年製作の映画)

SHOAH

上映日:2015年02月14日

製作国:

上映時間:570分

4.2

「SHOAH ショア」に投稿された感想・評価

たむ

たむの感想・評価

4.8
「人間の言葉では私の恐怖は表現できない」とは、ワルシャワのゲットーでの蜂起に参加した戦士の言葉ですが、残念な事にこれができないことには、歴史は忘れられ、風化してしまいます。
例えば『夜と霧』のように実際の絶滅収容所の記録映像をまとめたものもありますが、本作は再現不可能性に立ち向かうため、多くの証言と現在の絶滅収容所等の風景でナチスによるユダヤ人絶滅描き出します。
恐ろしい事は、人類史上最悪の民族全滅がはるか未来にアーサー伝説やアトランティスのようになってしまうこと。
実際に起こったことは何世代にも及ぶ時間の中で、本当にあった事実であるか分からなくなってしまうかもしれない。
映画はそれをさせないように、今の現場も禍々しいほどの雰囲気が漂っている事を表現します。
クロード・ランズマン監督は時にマイケル・ムーア監督のような突撃取材や独善的なインタビューが必ずしも成功していないシーンもたまにあります。
それでも、それぞれの証言が忘れがたいメッセージがあり、生涯で一度は体験すべき、9時間半の映画です。
ポーランドはクラクフ、アウシュヴィッツ・ビルケナウへ行くことを中心に予定を立てたポーランド・ドイツ旅行の入り口、シベリア鉄道の中で4日間かけて見た。
ナチスのホロコーストに関して、今ではたくさんの資料があるけれど、ショアには一切の資料的なものが出てこない。これはイメージを徹底的に拒否するための映画なんじゃないかと思った。
表象することも想像することも語ることすら不可能だといわれるホロコーストを、安易なイメージによってなにかをわかったふりしないために、作者自身のイメージや自由に想像する幅みたいなものを徹底的に排除しているのかなと思った。結局、自分が何を見たのかわからない。身体が宙ぶらりんになる。
ホロコースト研究の一環として。とても採点できる作品ではないです。
非情にもホロコースト体験者から残酷な真実が語られるので、それを体験したことのない私たちは想像を膨らませることしかできないが、そうあるべきでもあると思う。想像を絶する恐怖が映像化されることで安易に想像できるかのように錯覚してしまうからだ。それは商業性を排した本作ならではの手法なのだろう。
絶滅収容所にまつわる様々な証言。その言葉たちは重く苦しい。そして証言者が感極まって言葉を詰まらせる、その沈黙が胸を打つ。
クロード・ランズマン監督による総尺9時間半の映画遺産。
観賞は2度目でとても大変だったけれど、また観たい(いや、観なくては!)と思う傑作。
chiyo

chiyoの感想・評価

4.5
2015/2/22
音楽もアーカイブ映像も再現映像もなく、当時の関係者へのインタビューだけで構成。観る側に必要なのは、語られることを具現化する想像力のみ。収容所から生還したユダヤ人、収容所の元ナチス親衛隊員、収容所の近くに住む農夫等、その立場や馳せる当時への思いは様々。中でも印象的だったのは、時に涙は見せるものの感情を露にすることなく、淡々と話すユダヤ人の姿。自分たちが受けた仕打ちに憤ってもおかしくないのに、彼らから怒りは感じられない。ただ、深い悲しみだけがひしひしと伝わってくる。そんな彼らとは真逆に、収容所の近くに住む農夫たちの暢気なこと!結局のところ、ユダヤ人でなければ迫害されることも殺戮の対象になることもない、何が起こっても対岸の火事だという安心感が彼らにはある。そして、元親衛隊員を始めとするナチスに加担した人々に至っては、保身と正当化に努めるのみ。でも恐らく、そうしないと彼らも生きていけない。改宗、追放、絶滅と、歴史的に見てもユダヤ人に対する迫害はあまりに酷く、非人道的との言葉だけでは片付けられない。ガストラックの改善要望案なんて、人を人と思わないどころか、ただの積載物として扱われている。また、ユダヤ人がガス室に送られたことは誰もが知っていることだけれど、ガス室の扉を開けた瞬間の惨状に、改めて驚愕するばかり。さらに、ユダヤ人を絶滅するにあたり、その予算が国家単位で計上されることはなく、全てユダヤ人から没収した財産から担われていたということに驚きを隠せない。彼らは、自らの財産で収容所に赴き、自らの財産で死を迎えたことになる。570分という長さだけれど、ひとりでも多くの人に観てもらいたい、と願わずにはいられない映画。ちなみに、正式には2部作の作りで、日本公開時にはさらに分割して4部作で上映。2作ずつのセット鑑賞がお勧め。
栞

栞の感想・評価

3.8
長さを考えたらカメラワークとメタファーのおかげで大分観やすい気はする(特に3部以降)
印象操作されやすい構成だけど監督の意図を考えたら満点なのでは
あまりよくない見方だろうけど分割して見た。正直、映画として見たときに面白かったのは4枚中のディスク1に該当する第1期パート1のみ。音と映像が表象しうることの限界を見据えた上でこのような制限を設けてホロコーストを描いたという意図はもちろん分かるけど、正直言って結局のところは『シンドラーのリスト』とわりと同罪な気もするし、ミリアム・ハンセンが書いてる通りこの映画の名の下に『シンドラー』を批判するのも無理があるんじゃ。
ドキュメンタリーにおけるやらせの是非とかではなく単純に、 走ってたバンが止まるのを待ち構えてる川口浩探検隊やテラハもかくやな”演出”カメラなんか本当どうなのよ。表象不可能性の議論を含めて後に加藤幹郎や藤井仁子が本作と『シンドラー』を相対化した文章を読んだけど、85年、もしくは『シンドラー』と本作をめぐる議論が起きていた90年代当時の段階でそれを指摘している人っていなかったのか。
ayako

ayakoの感想・評価

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授業にて。虐殺の写真、映像は出てこない。ただ淡々と実際に強制収容所を経験した人々が重い口を開いて証言するのを捉えている。
だけどどんな再現ビデオよりも現実味があって身の毛がよだつ。これを観たらショアーについて学びましたと軽々しく言えないし自分の無知が露呈する。
とっこ

とっこの感想・評価

4.8
ナチスの絶滅収容所を題材としたドキュメンタリー。
BGMもなく、当時それに関わった被害者、加害者、第三者のインタビューのみで構成されている。9時間もの長尺で淡々とした作風だがその内容はどのホラー映画より恐ろしい。

ナショナリズムが台頭する今の時代こそ、多くの人間に見てほしい。
どんな人間でも悪魔になりうる。
史上もっとも優れたドキュメンタリー作家だと思う。
これを超えられる作品は恐らく無いのではないか...
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