佐藤克巳

東京キッドの佐藤克巳のレビュー・感想・評価

東京キッド(1950年製作の映画)
5.0
正にタイトル通り、初期の小狡いチャップリン「キッド」にオマージュした斎藤寅次郎監督の音楽喜劇映画の傑作。美空ひばりが師と仰ぐ斎藤監督、川田晴久の、ひばり売り出し戦術巧みな、川田がひばりを捨て去ろうとする小狡い試みもひばり可愛やを募らせる。喜劇王エノケンが、ひばりが歌うと反射神経良く調子に乗って踊る脇役で固めた。ひばりが、枕元にまじないをして夢を見ると、川田とアメリカ興行時のハワイで遊ぶ映像が披露される。堺駿二の小技の笑いも援護射撃。1950年代幕開け、笠置シズ子から美空ひばりの時代転換を告げた歴史的作品だろう。
佐藤克巳

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