ソマリアの民族紛争に突っ込んでいった米軍。民族紛争に乗じて、権力を拡大しようとする一派をジェノサイドだと制圧しようとして、その幹部たちを捕えるための作戦を実施する。
ほんの1時間で終了するはずだった作戦は、泥沼化し、多くの死傷者を出して地獄と化す。
地獄へと突入するきっかけは、最新の戦闘ヘリ、ブラックホークの墜落だ。ヘリが落ちていく瞬間の「ブラックホーク・ダウン!」「ブラックホーク・ダウン!」という悲痛な叫び声が地獄の釜の口を開いたかのようだ。
そこから、映画は泥沼の地獄を丹念に描いていく。なんのための戦いか、なんのための死か。もう、わかっているものなんて、誰もいない。ただ、打たれた痛みと、死んでいく仲間の血の生ぬるさと、人の狂気にさらされていく。
ストーリーとしては、とても地味なこの作品をここまでに仕上げたリドリー・スコットはやっぱり映画を動きと空気で伝えることができる、うまい監督だなあ、と思う。