青山

ガス燈の青山のレビュー・感想・評価

ガス燈(1944年製作の映画)
3.6

婚約者のグレゴリーとともにかつて叔母が殺されたロンドンの家に住むことになったポーラ。しかし家では物が紛失することが続き、グレゴリーはポーラの物忘れの激しさを責めるようになり......。


主人公のポーラがじわじわと精神をやられていく様を描いたサスペンス映画。
ポーラを演じるイングリッド・バーグマンがこの世のものとは思えぬ美しさで冒頭から一気に彼女に感情移入しちゃうんですが、だからこそ彼女がだんだん参っていく様は見ていてつらかったです。元が強くて聡明なキャラクターなだけに余計......。

サスペンスとしては、ぶっちゃけ夫のグレゴリーが悪い奴なのは序盤からもう分かっちゃってて、ポーラが洗脳されていく様もスリルよりも胸糞悪さを強く感じてしまいました。もうちょっとこう、本当にポーラがおかしいのかも?みたいな宙ぶらりんな感じの方がスリルある気はしてしまいました。探偵役もなんかポッと出な感じだし。ヒッチコックにでもありそうなお話なだけに、本作に比べてヒッチコックのサスペンスの上手さを実感させられてしまった。

とはいえモラハラ夫(?)の心理的な圧力を感じさせる演技や演出はすごかった(あの見下したような目ですよ!むかつく!)。
霧に煙るロンドンの夜の風景や、タイトルにもなっている瓦斯燈、屋敷の調度などの小道具がもう濃密にミステリーな雰囲気を醸し出していて素敵。また、生意気なメイド(可愛い)や野次馬婆さんなど妙に印象的な脇役たちも憎めないキャラで良かったです。

そして終盤のとある伏線回収とか、その後の展開とかもスッキリ気持ちよくて、なかなか面白かったです。
青山

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