りな

ハロルドとモード/少年は虹を渡るのりなのレビュー・感想・評価

3.7
「毎日何か新しいことを。そのための人生よ。永遠には続かない」
「あなたなら可能だ」
この会話の愛おしさったらもう…

自殺願望が強く、他人の葬儀へ行くことや建物の解体を見るのが好きなハロルド。同じく他人の葬儀へ来ていたモードと色んな初めてを体験していく。孤独な暗闇にいたハロルドが、アナーキーでファニーなモードの手によって持ち上げられていくのが嬉しかった。

亡くしたり、壊したりすることに惹かれるハロルドが「"モラルに縛られ自分の人生を誤魔化すな" 目標を持ってこそきちんと生きることができるの」と話す、一見対極にも思えるモードに惹かれるのは、彼の中にせめぎ合う感情の複雑さを見るようでなんだか切なくもあって、でも嬉しくもあるし必然であるとも思う。

彼はきっと八十歳まで生きるだろうな。モードと出会えて良かったね。二人に花束を贈りたい。
りな

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