【It's showtime, folks!】
ボブ・フォッシーが晩年に、自身の人生を投影し完成させた 、集大成とも言える作品。
ショービジネスを愛し、ショービジネスに愛された男、ジョー・ギデオン(ロイ・シャイダー)の物語。
その男の1日は、ヴィヴァルディの「アラ・ルスティカ」を聞きながら目薬をし、シャワーを浴びて、アルカ・セルツァーとデキセドリンを服用し、鏡に向かい「It's showtime, folks!」と自分を鼓舞して始まる。
ブロードウェイでトップクラスの演出家は映画の編集やら、ミュージカルの振付やらでハードワークの毎日。それにも関わらず酒、ドラッグ、女遊びに耽る日々。加えて46時中片手にタバコの有り様。不健康且つ破天荒極まりない生活がたたり、ついに過労でぶっ倒れる。
どんな状況でも自分の生き方を貫き通すジョー・ギデオンがカッコいい。『All That Jazz』というタイトルそのままの何でもありな人生に惹かれた。
また倒れる直前の台本の読み合わせシーンは痺れる。ジョー・ギデオンの周りは読みあわせをしていて、騒がしいはずなのに、胸を締め付けられた辛い状況。呼吸音や、ジョー・ギデオンがたてる音だけを拾うという演出が見事。
ストーリー自体もスタイリッシュで素敵だが、やはりミュージカル映画ということもあり音楽やダンスが最高。
手術中の生死をさまようシーンは圧巻。
けれどもやはりラストの「Bye Bye Love」。何もかもが完璧すぎて、稲妻に打たれたような感覚に陥った。
エンターテイナーとしての彼の人生の締めくくりに相応しいとしか表現のしようがない演出に思わず拍手したくなった。
Bye bye life
Bye bye happiness
Hello loneliness
I think I'm gonna die
2018.5.26