Blaze

サヨナラのBlazeのネタバレレビュー・内容・結末

サヨナラ(1957年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

制作陣の日本文化への一定のリスペクトを感じる映画。
歌舞伎(変なガイジン役者は出てくるが)・あやめ池遊園地・大阪松竹歌劇団・茶道・人形浄瑠璃・京都や東京の街並み・日本の家屋・文化風習などを美しく撮っている。
1957年という時代背景を考えると、公民権法も未成立のアメリカ、終戦間もない状況でこれだけ日本を偏見なくありのまま撮ったのは特筆に値する。

日本人の反米意識が徐々に融解していく描写も良かった。ヒロインの花荻(すごい名前だな)が父と兄を戦争で失い、アメリカ人とは口を聞かないと決めていたのにグルーバー少佐のひたむきな姿勢に心を動かされるところや、少佐がケリーの新居に招かれて町内の人に挨拶するが、最初は「なんだこいつ」みたいな塩対応なのだが足繁く通ううちすっかり仲良くなって名前で呼んでもらっているところや、反米団体(?)に唆されたヤクザ者が少佐たちを襲ったときも町内あげて反撃して少佐たちを救っている。
「日本人と結婚したGIは全員帰国。女房は日本に置いていけ」という反日感情剥き出しの通達との対比を出すことで、当時まだ根強かったであろうアメリカ人の反日姿勢への批判とも受け取れる。

ラストは賛否両論あるかもしれないが、実は最初の脚本ではやっぱり結ばれず離れ離れになってしまうというのを、主演のブランドが「それでは今の我々の価値観から離れていない」と反対してハッピーエンドに変更したという。さすがはブランドといったところ。

ナンシー梅木がアジア人初のアカデミー賞を受賞した映画の割には、日本では知名度が低いように感じる。古い映画だが、今見ても十分鑑賞に耐えられる良作だと思う。
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