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画家と庭師とカンパーニュのnaのネタバレレビュー・内容・結末

画家と庭師とカンパーニュ(2007年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

この手のフランス映画が大好き。でも、わたしの中のトップは「田舎の日曜日」なので、相対的にこのくらいの点数。何が悪いってなるとやっぱりラストかなぁ。安直すぎてチープ。こういうささやかな泣きポイント好きだろ?感が表面に出過ぎてしまっていて、ちょっといやらしい。

わたしがこういうフランス映画で好きなのは、綺麗事じゃない部分の切り取り方が上手だからで、本作も上手だった。友人同士はイライラを隠さないし、夫婦間の亀裂、別居中の娘との亀裂、教え子との、芸術家仲間との、パリの知り合いとの、昔の地元友達との、亀裂。いろんなところに緊張感が宿っていて、いや〜な顔を隠したりしない。そういうところが健康そうで大好き。

主人公ふたりには役名がないというのはおもしろいし、よかった。それぞれ、「ジャルダン(庭)」「キャンバス」と呼び合っている。
この手相応に淡々としていたけれど、シークエンス毎に、一生とは言わないもののしばらくは忘れないであろう風景をたくさん見つけた。それは、鎌を打つ音で目覚める朝であったり、ジーであったり、菜園のみずみずしさであったり、死神を釣り上げたことだったり、ふたりでかわすワインの色や水のぼやけ具合であったりした。
ジャルダンが死んだ朝、キャンバスは劇中でははじめて任せきりだった菜園に水を撒く。そのシークエンスがわたしにとって一番ひんやりと気持ちがよかった。
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