ERI

ミステリー・トレインのERIのレビュー・感想・評価

ミステリー・トレイン(1989年製作の映画)
3.7
色々な所で勧められていた『ミステリー・トレイン』です。

メンフィスという街のとあるホテルでの出来事。3組の全くお互いを知らないゲストが、それぞれの時を過ごす。3組ともエルヴィス・プレスリーに関連されていて、時が行ったり来たりして、とても良くできた作りになってます。ジム・ジャームッシュの独特のユーモアと映画の楽しみ方が、しっかりと織り込まれている秀作。

1組目は、永瀬正敏と工藤夕貴のカップルが、二人でメンフィスに旅行しにくるん。2人ともちょっと変わっていて、独特な恋愛を描く。二人とも、なんだか子供っぽくて、やのに妙に色っぽくて、好演です。さりげなく、ココにいる、ということや、他者との時間の共有の仕方がさりげなくて日本人らしさが出ていて、この3編の中でいい味になっています。

2組目は、突然旦那を亡くした一人の女性で、すぐにアメリカのやり方に騙されるお人好し。お金ばっかり払っている。たまたま入ったホテルで、お金がなくて泊まれない女性とひょんなことから相部屋することになる。初対面の女性二人が、過ごす一晩。

3組目は、リストラされて妻にも逃げられた一人の男が、急に人生嫌になって、暴れ出して。その義理の兄弟と友だちが、巻き込まれ、えらいこっちゃになる。そして逃げるようにして隠れたホテルで飲み明かす出来事。トラブルがトラブルを呼ぶ、ついていない一日をユーモアたっぷりに描く。

その3編が、とても上手い具合に繋がっているの。私は同監督作品『ナイト・オン・ザ・プラネット』の方が好みやったけど、この作品も漂う匂いはとても似ていて、そしてやっぱり良くできている。淡々とした人間の哀愁とか、人間の不器用さとか、そういうものを見たい人は是非。
ERI

ERI