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マイティ・ソーのSugiのレビュー・感想・評価

マイティ・ソー(2011年製作の映画)
3.0
マイティ・ソーとその弟ロキの人物像の興味深さと、それを演じたクリス・ヘムズワースとトム・ヒドルストンの演技力がよく光っている映画。

北欧神話の雷神で「トール」とも呼ばれる本作の主人公ソー(クリス・ヘムズワース)はアスガルド王国の第一王子で圧倒的な戦闘力に裏付けられた傲慢な自信を有しており、父オーディン(アンソニー・ホプキンス)の跡を継承する次期国王として有力候補だったものの、素行上の問題が山積みだった。一方、ソーの弟で第二王子のロキ(トム・ヒドルストン)は嘘やデタラメに長けた悪戯の神であり、兄ソーを尊敬しつつも強い劣等感や嫉妬心を心に秘めており、密かにソーの国外追放と自身の次期王位継承を企てる。

人間界に落とされたソーがジェーン(ナタリー・ポートマン)らと関わり合う中で自らの過去の無鉄砲な無責任な行いを悔い改め、真の正義を学んでいく姿はシンプルに格好良く、善良なアスガルドの国王になって欲しいと思えた。また、対するロキも悪一辺倒の単純な敵キャラではなく過去に悲しい事実を持つ「悲劇のヒール」であるため、悪に染まってしまったロキにも同情してしまうところがちゃんとあって、そこが物語をより深化させていた。

そして当然、そのような人物像を見事に表現していたのが彼らを演じた2人の俳優である。
クリス・ヘムズワースは特に人間界の中に1人神がいる、という違和感をそのオーラで完璧に演技し切っており、ただ頭のおかしい人間に成り下がらなかった点が素晴らしい。また、ロキを演じたトム・ヒドルストンも特に父オーディンに怒りをぶつけるシーンが、自身の出自に関する悲しみや父の行為に対する憎悪の感情がひしひしと伝わってきて非常に印象的だった。

ただ、これらのような素晴らしい点がある一方で、本作の脚本はあまり良くなかった印象を受けた。神が人間界に降りてきて軽く過ごす程度ならまだしも、人間世界で戦ってしまうと、その場面の映像の違和感がさすがに度を越してしまった。神同士が神々の世界で戦っていたシーンはすごくカッコよく、CG技術も流石のmarvelクオリティだったが、デストロイヤーとの戦いは全然魅力的に映らなかった。かなりダサかった。

撮影とCGはすごく良かった。神々の世界と人間世界の区分けがしっかり行われていて、照明やセット、衣装など映像の雰囲気だけでそれを表しきっていたのは見事だった。

個人的に単体作品としてはアイアンマンの方が好みな気がする。とりあえずマイティ・ソーの次作も観てみる。
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