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延安の娘のSngのレビュー・感想・評価

延安の娘(2002年製作の映画)
4.0
文革に翻弄された人々の今を映し出す骨太ドキュメンタリー。撮影は2000年の北京と、かつて革命の聖地と言われた延安。紅衛兵であり下方青年として重労働に従事した父親、下方先の延安に置き去りにされた娘、下方してきた娘と恋に落ち投獄された延安の男、その処罰を下した幹部、そんな重たい過去の関係を双方に寄り添いながら掘り起こしていく元下方青年の男。離れ離れになった親子の27年ぶりの再会を軸に映画は展開していく。

こんなドキュメンタリーが作れてしまうことが凄い。下方政策が停止されたのは1978年、今からたった40年前までお隣の国ではこんなとんでもないことが行われていた。決して遠い昔の話ではない、下方青年は約1600万人、今も多くの中国人の心に潜む闇だ。それを日本人監督が切り取ったことに驚き。

出演者たちの間を取り持つ黄玉嶺という男は、なぜここまで世話を焼くのか?彼の言葉には何度か「面子」という単語が出てきた。時代に翻弄されながらも信念を持って生きた彼が涙を流す姿は、ズシンと重い。

それにしても男たちタバコ吸い過ぎ!農村の規模が日本とは違い過ぎ!

DVD内の監督インタビューがまた面白い。主人公となる娘との出会いや、文革を真正面から捉えようとする日本人撮影チームへの中国人の想い等。池谷監督の作品、すべて気になる。
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