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コーヒー&シガレッツのakqnyのレビュー・感想・評価

コーヒー&シガレッツ(2003年製作の映画)
4.7
ジム・ジャームッシュの描く淡々とした日常のシュールさが好きで、例えばそれはバナナマンのコントとか大橋裕之の漫画に通ずる、見終わった後の微笑ましいような小っ恥ずかしいようなあの感じである。

その正体はなんなのだろうかとずっと思っていたが、どの作品にも枠があるなと気づいた。
定点の映像の枠、コントの舞台、漫画のコマ。それは多分フィクションであることをあえて際立たせ、情報を突き詰めることで余白の面白さを際立たせていることに他ならないのではないか。

思うに視聴者は常に劇を観ている第三者的な目線というか、常に「フィクションを見せられている画面の前の自分」という感覚はあるんだけど、題材は限りなく日常的でだれにも想像のできること経験できそうなことでありリアリティがある。しかも物語が面白いので、いつのまにか自分の中にスッと入ってくる。

モノクロでほぼ1〜2カットで固定された映像でしかないのだけど、だからこそ「あくまで日常を切り取った映画の中での出来事」というフィクションの客観性は、枠の外を想像せずにはいられない。その枠の外にある想像力の余白こそ、彼らの作品の真髄であり、めちゃくちゃに魅力的なのだ。。


限られた枠のなかでなにを残して何を捨てるのか。
日常の些細な言葉のやりとりや表情、コーヒーの飲み方や灰皿の中身や場所、登場人物、シチュエーションにいたるまで全てが丁寧で完成された作品だと思う。。
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