akqnyさんの映画レビュー・感想・評価

akqny

akqny

映画(116)
ドラマ(0)
アニメ(0)

犬ヶ島(2018年製作の映画)

4.5

かつて日本には、個人的な理由から生き物(特に犬)を大切にせよという法律を作った権力者がいたが、本作では権力者の個人的な感情により、犬が追放されるディストピア的世界観で日本を描く。

ウェスの作品はブラ
>>続きを読む

BLUE GIANT(2023年製作の映画)

4.0

ジャズは即興の音楽であり、本来は生の演奏こそ至高であると思うのだけれど、高尚な音楽として理解されないままただ消費されているし、してしまっている気もする。
本作は漫画をベースとしているからこそのフィクシ
>>続きを読む

mid90s ミッドナインティーズ(2018年製作の映画)

5.0

子どもから大人へと向かうにつれて芽生える自我、広がる世界と増える誘惑、漠然とした将来への焦燥…
自らの環境も立場も年齢も人種も自我も不安も過去も、すべて捨て置き、ただ滑ること、メイクすることが膨大なエ
>>続きを読む

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

3.9

目の前の辛い現実から目を逸らすことなく、それでも生きていかねばならない運命の不条理。

チェーホフのワーニャ叔父さんでは、まさに人生の不条理や試練(ワーニャは尊敬し経済的にも支えていた教授に裏切られ、
>>続きを読む

重力の光 : 祈りの記録篇(2022年製作の映画)

3.8

ドキュメンタリーなのだけど、北九州の教会に集まる人々の生活や生い立ちを映すというリアルと、彼ら(素人の役者)による聖書の再現というフィクションを内在させることで、信仰や宗教という大きな社会規範に目を向>>続きを読む

メルビンとハワード(1980年製作の映画)

3.7

記録

実話を元にした映画。大富豪ハワードヒューズに遺産相続人に指名されたメルビンデュマーの物語。
人生には運がつきものだが、その運を掴めるかどうかは自分に正直にがむしゃらに生きることが大事なのかも。
>>続きを読む

ボーイ・ミーツ・ガール(1983年製作の映画)

3.9

アレックス3部作のうち、これだけ見れていなかったのでようやく。

本作も孤独な青年アレックスと魅力的ながら影のある女性という構図。
青さゆえに人生を生き急ぐ若者たち。未来の空想ではなく今を懸命に生きて
>>続きを読む

カモン カモン(2021年製作の映画)

4.6

丁度この映画のジェシーと同じくらいの時に弟ができて、親の愛情欲しさにわざと気を惹く行動をしたことを不意に思い出した。
映画に自分が感情移入できるかどうかはさほど重要ではない(というのも必ずしも共感でき
>>続きを読む

音楽(2019年製作の映画)

5.0

シュールな世界観で日常が展開する大橋裕之ワールドをアニメーションとして最高の形に昇華した作品。

ヤンキーがベース×2とドラムという尖りまくったバンドで音楽を始める話なのだが、音楽とは本来人間の根源的
>>続きを読む

ウィンター・オン・ファイヤー ウクライナ、自由への闘い(2015年製作の映画)

4.0

映像の可能性。

いつも思うが、まず映像を残すこと、撮るという行為が大事ながら、さらにそれをどう伝えていくかがもっと大事なことだと実感する。
映像はそれ自体が雄弁であるものの、どう伝えるかという編集と
>>続きを読む

なぜ君は総理大臣になれないのか(2020年製作の映画)

4.4

「政治とは勝った51が負けた49をどれだけ背負えるかなんだ」という言葉をまず語れる人にこそ総理大臣になってほしいし、今の日本にこれほど誠実で明晰な政治家がいるのは希望だと思えた。
理想から辿った一本道
>>続きを読む

過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい 写真家 森山大道(2020年製作の映画)

4.0

「写真なんて写りゃいいんだから」

「手袋はめて飾るようなもんじゃないんだよ。壁に画鋲で留めるくらいがちょうどいい、写真なんてそんなもんだよ」

「俺は写真を解体しようとしたんだけど、写真はタフだから
>>続きを読む

TAXi(1998年製作の映画)

3.3

たまには昔のベタなやつを。
脚本リュックベッソンなの知らなかった。

ザ・ピーナッツバター・ファルコン(2019年製作の映画)

3.9

いわゆるポリコレ的な色合いの映画ではなく、自然なストーリーの中に、障害者と健常者という立場を意識することなくお互いが助け合える関係性が光る。


保育園のころからのダウン症の友人がいて、今でも家族ぐる
>>続きを読む

海辺のポーリーヌ(1983年製作の映画)

3.5

初エリックロメール。
ノルマンディーの青い光が綺麗。

コーヒー&シガレッツ(2003年製作の映画)

4.7

ジム・ジャームッシュの描く淡々とした日常のシュールさが好きで、例えばそれはバナナマンのコントとか大橋裕之の漫画に通ずる、見終わった後の微笑ましいような小っ恥ずかしいようなあの感じである。

その正体は
>>続きを読む

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)

4.7

この映画を見て改めて思ったが、恋とは、男女の関係性とは全く別の次元に存在する、もっと複雑で到底理解できない高貴なものであるのではないか。
その証拠に、人類ははるか昔から恋について語り歌い表現してきたが
>>続きを読む

街の上で(2019年製作の映画)

3.7

形はどうであれ人に想ってもらえる人生のなんと贅沢なことか。
そして人を想うことのなんと尊いことか。

時々忘れそうになるけど素直にそれができる人はすごいなと思う。

大橋裕之さんの漫画にあるような、日
>>続きを読む

ビーツ、ライムズ・アンド・ライフ ア・トライブ・コールド・クエストの旅(2011年製作の映画)

3.9

F**k the policeやFight for the powerと歌わなくても、デカい車に乗って金と女を抱えなくてもヒップホップだと照明したネイティブタンというムーブメントの中心、ATCQやDe>>続きを読む

SAYONARA AMERICA(2021年製作の映画)

4.5

2021年最後の映画鑑賞は刈谷日劇にて。

細野さんのアメリカンミュージックへのリスペクトと愛が詰まった作品。幸せすぎる90分だった。

ちょうど細野さんがロサンゼルスで公演した5ヶ月後に自分もロサン
>>続きを読む

ポンヌフの恋人(1991年製作の映画)

5.0

天涯孤独で若くしてホームレスのアレックスと、恋人に振られ失明の危機から路上に生きることを選んだ美学生のミシェル。
人生のほんの一瞬を共有したことから始まる全く新しい世界もあるのだと思えたし、人生はなん
>>続きを読む

戦場のメリークリスマス(1983年製作の映画)

3.9

狡猾で横暴だが敵兵捕虜とも関わろうとする人間くさいハラと、自らも周りも律しあくまで秩序と形式を重んじるヨノイ。

日本語が話せるエリートであり客観的に状況を見つめるロレンス。過去を埋めるために戦場生き
>>続きを読む

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

4.0

グレタガーウィグの描くアドレッセンスな日常の、なんと青く美しいことか。
レディバードもフランシス・ハもそうなんだけど、誰にでもある思春期の生きづらさとぎこちなさを描かせたら右に出るものはいないなと思っ
>>続きを読む

ウィーアーリトルゾンビーズ(2019年製作の映画)

3.3

現代っ子が無気力で、夢もなく、斜めに世界を見てしまうのは、これまでの成功者のレールが崩れているのに、結局のところレールに沿わなければならない馬鹿馬鹿しさからなのか。

若い監督とフレッシュなキャスト。
>>続きを読む

三人の夫(2018年製作の映画)

2.8

安いポルノ映画でなく、がっつり社会派の映画。

異常な性欲を持つ娼婦のムイと、彼女に客を取らせる三人の夫。
ムイは明らかに香港という国の比喩であり、三人の夫は、清朝、イギリス、日本であろうか。清から生
>>続きを読む

スワロウテイル(1996年製作の映画)

4.4

1996年に見るスワロウテイル。2020年に見るスワロウテイル。見え方はどれだけ変わるんだろうか。

栄光と現実。昭和末から平成という時代は、まるでジェットコースターみたいに下っていく日本と対照的に成
>>続きを読む

アメリカン・ユートピア(2020年製作の映画)

5.0

あまりに複雑で繊細で不完全でだからこそ愛おしい。デイビッドバーンによる最高の人間讃歌だと思った。
文字通り音が楽しいと思う音楽体験は生涯で何回あるだろう。間違いなく今年最高の映画で、映画館で見るべき作
>>続きを読む

スウィング・キッズ(2018年製作の映画)

5.0

世界の複雑さについて語る時、我々の語ることは時に空虚だと思う。思想、人種、言語、宗教、性別、経済力…それらを前に語る言葉は必ずどこかに諦めを含むのだから。そう考えると言葉というのは全能ではない。

>>続きを読む

この世界の片隅に(2016年製作の映画)

5.0

誰しも人は存在することに意味がある。生きることに意味がある。と思う。
ちょっとくらい人に迷惑かけても社会的に役に立たなくても、あるいは人を救い社会から讃えられても、生きている今この一瞬は誰しもに平等に
>>続きを読む

サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)

4.0

青春映画なんだけど、「好きだから撮る」という純粋な創作の必然性をエネルギーそのままぶつけられような映画だった。

何かを見て好きとかすごいという感情を抱く時、膨大なエネルギーの種が生まれるのと同時に自
>>続きを読む

ロンドン・エディンバラ・ロンドン(2016年製作の映画)

3.7

参加者が40〜60代の人たちがほとんどのトレイルレースで1400kmを走破する気力は並大抵じゃないけど、あるおじさんが「ケーキの飾りみたいなもんさ」と言っていたように、己の人生になにか残るものを精一杯>>続きを読む

パーティで女の子に話しかけるには(2017年製作の映画)

3.5

ある意味でとても先進的に進化した人類でもパンクは通用するっぽい。
パンクはファッションじゃなくてアティテュードだし、そういう否定の精神は人間の成長に一定程度必要なのかも。

エルファニングのジャケット
>>続きを読む

メイド・イン・ホンコン/香港製造 デジタル・リマスター版(1997年製作の映画)

4.0

生きる上では盲目的である方がかえって良いのではと思うのだけど、どうなのだろうか。
子どもであることの特権はその盲目的なまでの衝動とエネルギーを、目の前の世界に全て注げることである。
この映画では主人公
>>続きを読む

愛がなんだ(2018年製作の映画)

3.7

誰かしら感情移入できるペルソナがいるのかもしれないけど、自分はヘボいので「幸せになりたいっすね」くらいしかわからなかった。


人は元来寂しい生き物で、その心の溝を埋めるために恋愛するんだろうか。
>>続きを読む

花様年華(2000年製作の映画)

5.0

いままでスーツよりもストリートファッションで、シャツにアイロンをかけたことなど一度たりともなかったのだが、この映画のトニーレオンがとにかく男前なので完全にやられてしまった。ポマードで固めた髪の分け目が>>続きを読む

>|