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フェア・ゲームのmanacのレビュー・感想・評価

フェア・ゲーム(2010年製作の映画)
1.3
映画の全てを鵜呑みにしてはいけないのかもしれないけれど、それにしてもアメリカ政府って極悪だなと思ってしまう。他国の政府を批判できる国じゃないけどさ、こっちだって。

そもそも『正義』の名の下、他国へ戦争を仕掛けるために殆ど出鱈目の情報を国民に信じ込ませるってどこが正義?そんな底抜けの大義名分なら『多発テロへの報復』だけでも十分かと。
そしてその底抜け大義名分の為に失敗させられたヴァレリーの作戦では多くの人が大きく人生を狂わせられたことが容易に想像できるのだけれど、そこに関しては誰もが完全不感症。なんとも思ってないみたい。責任を負わされたリビーの刑も、人の命を奪い、アメリカ諜報機関の信用を貶めたにしてはあまりにも軽すぎるし。自分がアメリカに保護するから証言しろと言われる立場だったら「こっちが人生リセットの準備しちゃってから平気で作戦中止するような国信じられるかバカ」と言うね、絶対。
だいたい、有罪判決を受けるべきはリビーだけではなく、もっともっと沢山の人がいるはずだと思うし。

そして映画としては、かなり物足りない感じがした。
プレイム事件はヴァレリーの素性がマスコミに暴露された後の捜査から裁判までが肝だと思うのだけれど、上映時間の半分以上をニジェール疑惑に使っている。しかも既にマスコミが公表している内容ばかりを淡々と綴っているので全く興味をそそられない。その後は戦う夫と途方に暮れている妻の煮え切らない夫婦問題をだらだらと見せられ、ようやくヴァレリーが戦闘モードに入ったと思ったらもう残り時間10分。事件の肝の部分はあっさり数分で片づけられてしまった。
この捜査がけっこうドラマがあったと思うんだけどなー。マスコミだってそう簡単に情報源を明かしたくないだろうし、でも世間は騒いでるし、証言者だって相当苦悩したはず。ホワイトハウスの人間だって同じジレンマがあっただろうし。ここまで世間に騒がれたらトカゲのしっぽ切り離して知らんぷりは出来ないだろうから。戦うヴァレリーも見たかった。
そーゆうトコ見せてくれなくちゃー結末の分かってるサスペンスの序章だけ見せられても―本篇いつ始まるのよー。

配役とか演出の問題以前に、焦点が期待していたものと違い過ぎた。
映画見なくてもwiki読めば十分な映画でした。
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