Joker

フェア・ゲームのJokerのネタバレレビュー・内容・結末

フェア・ゲーム(2010年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

この手の史実を基にした映画にしては個人的に結構面白かったと思う。

物語の軸は嘘を隠そうとするアメリカ政府と真実を世に伝えることに使命を感じるウィルソンの対立(ほとんどアメリカ政府による一方的な攻撃なのだが)がメインだが、同時に真実を公表する大切さを感じ一生懸命なウィルソンとそれによって及ぶ危険や政府に立ち向かう無謀さを冷静に考えるヴァレリーの対比も重要だったと思う。

政府でも言っていることが間違っていたら、政府の意見に反対することになっても真実を世に公表するのか、
それとも、間違っていると知っておきながら公表することによって及ぶ被害や公表しても政府敵わない現実を冷静に見て口を閉じたままでいるか、どっちをとるべきかとても考えさせられた。
真実を公表することは必要であるが、ほとんどの人はその行為によって受ける利害を考えて公表することを控えると思う。だから、ウィルソンの行動は家族をも危険な目に遭わせかねなかったが、世の中の人が真実を知り、政府による国民に対する裏切りを知ることができたことにおいて非常に大切な行為であり称賛されるべきだと思う。

真実を基にしたドキュメンタリータッチな映画だったが、登場人物の感情面が非常に丁寧に描かれていてそれぞれの考えや感じる思いや苦しみなどがとても伝わってきた。なぜそのように行動し、なぜそのような感情を感じるのかがとても伝わってきた。史実を基にした映画は物語の過程を丁寧に描くことに重点を置くあまり、登場人物の感情描写が疎かになりがちだが、この映画は両方に重きを置いてて非常に良いと感じた。

ショーンペンをはじめ、ナオミワッツらの演技もとても上手で、登場人物の感情をよく表現すると共に映画の世界に重みを与えてたと思う。

ジョーが大学の講義で行ったスピーチが素晴らしかった。映画が伝えたかったメッセージが全てあのスピーチに詰まっていたと思う。このスピーチだけでも多くの人に聞いて欲しいと思った。

史実に忠実でありながら、登場人物の感情を丁寧に描き、役者の上手な演技で見応えのあるこの映画は個人的にかなり良かったと思う。
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