ちゃむ

秒速5センチメートルのちゃむのレビュー・感想・評価

秒速5センチメートル(2007年製作の映画)
3.9
君の名はの原液だけ抽出して凝縮したみたいな世界だった。
前も思ったが、新海誠作品は、大人になっていつの間にか忘れていたような強烈に一途で純粋で未熟な10代の心の微細な揺れ動きを、丁寧に掬い上げて描ききっていてほんとに、なんでここまで新鮮にあの感覚を持ち続けてられるんだろうって、毎度深く刺されてしまう。

そして新海誠の賛否が分かれる理由もここに来て分かった気がするというか、確かに天気の子、君の名はとかは少女漫画的な要素が多分にあって、主人公同士だけでなく観客も瀧くんや三葉に恋をしないとどうにも説得力が無い部分があった、
が、今回はもはや客観など関係なく、貴樹にとって明里が、花苗にとって貴樹が大事な存在であるという事実だけで物語が成り立っているので、ニュートラルに見られるし、まあ逆に言うと彼らに深入りすることも無く、その意味ではるかに純度の高い作品だった。
ちゃむ

ちゃむ