蒲生

秒速5センチメートルの蒲生のレビュー・感想・評価

秒速5センチメートル(2007年製作の映画)
4.5
視聴した時の状況によって意見が分かれるピーキーな作品

小説版 漫画版 DVDも保有
大学生の時視聴
この作品で新海ファンになった男の一人
意見が分かれる本作だがそれでいい
万人に受ける作品を作れるほど新海さんは器用でない(新海さんすいません)
特に本作は初視聴の年齢 性別 既婚か未婚 君の名は以前視聴したか否か 異性関係等の人生観から大いに意見がわかれる
要は思い出補正だ
因みに私はさえない青春を送っていた男子だ

君の名はで新海を知った人にとっては今作は ん?と思う人が多いと思うかもしれない
だがそれでいい。
私のまわりで微妙という人も多い(主に派手目の方)

そもそも新海さんは打率1割、2割の打者だ 長打力がある
例えば君の名はは10人いれば7.8人は面白いという多くの人が楽しめるハイアベレージな作品
でもそれ以前の作品は10人いれば2.3人しか面白いと言わないかもしれない。でもその2.3人にとってその作品は心の深くに刻まれ、かけがえのない作品になる
そういったところが新海さんの魅力だ
新海さん自身もすずめの戸締まりで同じようなことをおっしゃっていた。

現代の技術でから見ると本作の映像美は大したものでないかもしれない。
しかしリアルタイムで本作を見た人にとってはトリハダものの映像美、トレース技術であった。その分丁寧に時間をかけ、採算度外視の制作過程
キャラデザに頼りきらない現実的なストーリー
聞いただけでどのシーンかすぐに思い出せるBGM
全てはこの為にあるラストを飾るOne more time,One more chance
新海作品に共通する「距離」を感じさせるテーマ性が本作では非常に豊かに表現されている。

今の新海さんは打率7.8割のヒットメーカーだが、従来の作っていたこのような作品に戻ってきてほしい気もするおっさんの独り言である
蒲生

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