新海誠さんによる2007年公開の劇場作品で、惹かれ合っていた男女の時間と距離による変化を全3話の短編で描いた連作アニメーションは、これ程までにエモーショナルでも、ロマンチックでもなかったけれど、自らの学生時代が蘇ってきて甘酸っぱい気分になる。
第1話「桜花抄」では、互いに思い合っていた貴樹と明里が、小学校卒業と同時に明里の引越しで離ればなれになってしまうが、中学生になり、明里からの手紙が届いたことを切っ掛けに、明里に会いにいく貴樹の行程がリアルに描かれる。
第2話「コスモナウト」は、中学の半ばで東京から引越し、遠く離れた鹿児島の離島で高校生生活を送っていた貴樹に対し、同級生の花苗の、他の人とはどこか違う貴樹をずっと思い続ける片思いが切なく展開する。
そして第3話「秒速5センチメートル」は、社会人になり、東京でSEとして働く貴樹だったが、付き合った女性とも心を通わせることが出来ずに別れてしまい、やがて会社も辞めてしまう。
季節がめぐり春が訪れると、貴樹は道端で擦れ違った或る女性に気付く。
この最終話の終盤で流れる山崎まさよしさんの主題歌「One more time, One more chance」が、何とも切なく余韻を残します。
