今や国民的な映画作家になった新海誠監督の初期作品が、奇跡のIMAXバージョンに!
新作公開前のプロモーションとはいえ、あのインディペンデントアニメーションがIMAXになるというのはとてつもないことなので、もう二度と観ることはないと思っていたある種のトラウマ映画を再鑑賞しました。
今回も感情の濁流に巻き込まれる、後悔と時間と距離の物語に、どうしようもなく心かき乱される体験です。
クライマックスが山崎まさよしさんのMVと言われようが、個人的には電子紙芝居だと思いますが、感情を揺さぶられるのは事実。
結局本作の省略の上手さが、観客に自動的なフィードバックを強制して、自分の過去の行いの後悔やらなんやらがなだれ込んでくるわけです。
冷静な批評をものともしないのは、映画館ではより強化されます。
人生にもしもなく、一方通行であること。
新海監督は悲観的で女性嫌悪的とも言えるとんでもない結末を本作で描き出します。
ふとおもいだすのは、今まで思ってもみなかった『カサブランカ』です。
あの映画もミソジニーとホモソーシャルで語られますが、本作ではホモソーシャルに救いを見出すような逃げ道もありません。
改めて恐ろしい映画だな、もうきっと二度と観ないと思いますが、稀有な映画体験となることには変わりないですね。
