きくち

秒速5センチメートルのきくちのレビュー・感想・評価

秒速5センチメートル(2007年製作の映画)
3.7
奇麗な物語、映像だなー。

小説を読んでいるような気分になるのはキャラクターの心情を表情や行動でなく、モノローグを使って表しているからだろうか。
これを普通のアニメでやったら飽きると思うけれど、繊細な物語と新海さんが慎重に選んだ声優さんの声があるからこそ、感情を揺さぶられるのかな。

インタビューでもおっしゃていたけれど、距離をひとつテーマにしているように三人の心の距離がなんとも絶妙。
短編三本でひとつの作品だが、それぞれミニテーマがあるようにも思われる。
一話は両想いで心は繋がっているのに物理的に距離があり、会えないもどかしさ。
二話は主人公に片想いで物理的距離は非常に近いのに、遠野の心は遠くの方を見ており、心の距離は一向に縮まらない。
三話では、主人公はまだ心のどこかで心は繋がっていると思っていたけれど、いつの間にかヒロインの心は遠ざかっていた。それを最終的には受け入れた主人公。

新海さんは新海『言の葉の庭』にしろ、繊細な心の描き方が本当に上手い方。
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