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巴里のアメリカ人のヨウのレビュー・感想・評価

巴里のアメリカ人(1951年製作の映画)
3.9
芸術の都・パリを舞台にお披露目される魅惑のミュージカル。美しき風景とユーモア溢れる作風が神掛かり的なマッチをみせ、終始心は高揚状態に。もはやコメディとも思えるくらい笑いどころも満載で抱腹絶倒の嵐だ。エンタメ性に富んだエピソードと同時に一筋縄ではいかない人間関係と運命を繊細に綴り、思いの外、奥深い内容となっている。ジェリーとリズの恋を中心とした奇妙なヒューマンドラマはなかなか巧緻であり、脚本の精度に驚くばかり。そして今作一番の見せ所である終盤の歌と踊りは大団円的な意味合いも持ち、絢爛豪華な演出模様に酔いしれてしまった。結びは割とあっさりしていて肩透かしを喰らったが、それ以外が文句無しだったので総じて充実した映画時間となった。美術と音楽で観客全員を魅了する名作ミュージカル。ジーンケリーのパフォーマンスに只々首ったけ。この時代における俳優たちの中では群を抜いて一番好きかもしれない。
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