Reo

巴里のアメリカ人のReoのレビュー・感想・評価

巴里のアメリカ人(1951年製作の映画)
4.8
幻想的な恋を歌やダンスで感じられる作品。
113分が一瞬だった。
なんといってもパリの風景。例えば、この映画の舞台がNYであると、少し慌ただしい雰囲気の作品となってしまう。だが、フランスの全く飽き飽きしない建物の形や色、道路を走るタクシーや車でさえもお洒落に感じさせてくれる。そして、パリ住民の暖かさも素晴らしく味を出している。小粋な道の昼下がりに生まれるサウンドやダンスを市民が主要人物を見守る空間がとても気持ち良かった。特にジーン・ケリーが名曲「I Got Rhythm」を子どもたちと歌うシーンは、広場で大道芸を披露する人が子どもと一緒に作り上げるショーのように、非常に人情味溢れる場面だった。

感情や人格をダンスや歌で上手く表現し、市民と心で繋がるというこれ以上になく幸せな瞬間である。ミュージカルの挨拶代わりにダンスといった考え方が良い。それから、自身が射止めた相手を落とすという今では存在しない、というかなし得ないロマンチックな愛の表現技法が本当に憧れる。

衣装や建物のデザインなどもインパクトを残す原色が多く使われており、映画次第を明るく元気にしてくれる。個人的に原色が好きというのもあるが、やはり見ていて清々しい気持ちになった。
クライマックスでの妄想上舞台では、ジーン・ケリーのタップダンスとレスリー・キャロンのバレエを壮大な音楽や舞台に合わせた世界観が度肝を抜かれた。
人生で観てきた映画で指折の作品になった。

追記
見終わった後に家の近くの映画館で上映している事を知った!
初見を映画館で味わいたかった…
Reo

Reo