医学士野村辰雄(大木実)は、二年間のアメリカ留学を終えて帰って来た。空港には恋人秋山澄子(島崎雪子)の姿はなく、黒川金伍(三島耕)がひとりいた。澄子は恩師秋山博士(奈良真養)の娘で、星野護(菅佐原英一)と野村は、澄子をはさんで対立していた。野村の下宿は、昔父の病院で働いていた塚田きよ(市川春代)の家で、きよの娘咲子(紙京子)は、看護婦を志していた。澄子を訪ねて箱根へ行った野村は、澄子が星野と結婚するという事を知った。野村は得体の知れぬ病原体の熱病を研究することに熱中した。この病原体について大川所長(北竜二)と小島教授(山形勲)の意見が対立したために、小島学説を支持する野村は、新しい分室の主任の職を失った。これが星野の中傷のためと知った野村は、酔に心をまぎらそうとした。房総半島に、星野の国立研究所と並んで立っている小島研究所ヘ、野村は病に倒れた小島教授の後をついで来た。小島研究所は民間研究所であるため、実験用の猿さえ買えず、咲子と森戸(須賀不二男)の妹淑子(由美あづさ)は野村のために、努力をおしまなかった。星野の妻となった澄子が、咲子と同時にこの得体の知れぬ熱病にかかった時、咲子は自ら実験台となり、野村の薬を注射した。咲子の熱は下り、小島学説が正しかったことが説明された。野村が星野を訪ねると、星野は自分の敗北を認め、野村に澄子を託した。
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