無意識の動物園
【カオスどころの騒ぎじゃない】
🟦ナポレオン軍に処刑されるスペイン民衆の「自由くたばれ」の叫びは、現代のパリの公園で女が読む小説の中の話。このように人物を変えながら全く脈絡なしで挿話が綴られてゆく。ついでに、会食の椅子が便座であったり、突如戦車が現れるなど、参るほどカオスな展開が続く。
⬛️矢継ぎ早に続く連想ゲームのような映画です。連続するカオスな展開は予測不能すぎて、ほとんどコントのようだ。
「自由」をテーマにしたルイスブニュエルのショートショート集とでも言うのか。なにしろ「アンダルシアの犬」を撮った人だから、それぞれのシーンに意味があるかすら怪しいところだ。
【意味のないものの自由】
⬜️意味的な場面を挙げるとすれば、導入のスペイン民衆の処刑シーンくらいなものだろう。このシーンに言われる「自由くたばれ」の叫びは、現代にて警官による民衆の弾圧場面で反復されている。スペイン民衆を処刑する残虐な過去が、カオスで自由な展開が続く現代で繰り返されることで、自由に対する疑問が生まれた。
このような対比から意味のないものの「自由」が如何なるものか私は考えてしまった。だからこの作品で続いた混沌は、自由の正負を極める我々の意識の旅であったと思うのだ。
【まとめ】
🚽しかし変な映画だった。1番好きなシーンは、ご飯食べながらトイレするとこ…という文言でいかに奇怪な映画か察していただけると思う。ブニュエルの作品はすごく波長が合う瞬間があったりで、今のところ1番気になっている。
「哀しみのトリスターナ」はそれが最高にハマっていたわけだが、こちらはイマイチであった。