千年女優

サイダーハウス・ルールの千年女優のレビュー・感想・評価

サイダーハウス・ルール(1999年製作の映画)
3.5
大戦末期のメイン州ニューイングランド。ラーチ医師が運営する孤児院で育った青年で、頭の良さを買われて中絶技術を教え込まれたホーマー。外の世界への憧れから患者で陸軍中尉ウォリーの恋人キャサリンの退院と共に巣立った彼が、ウォリーの実家が営むリンゴ農園「サイダーハウス」で体験する市井の人々の生活を描いた青春映画です。

米国のポストモダン文学を代表する作家ジョン・アーヴィングの同名小説を『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』で評価を高めたラッセ・ハルストレム監督が原作者自身の脚本で映画化した作品で、トビー・マグワイアがシャーリーズ・セロンやマイケル・ケインと描く青春物語が評価されてアカデミー賞では脚本賞と助演男優賞を獲得しました。

若者が外界へと飛び出す昔ながらの青春物語ですが、価値観移りゆく時代の狭間で様々なシリアスな要素を取り上げて奥行きと深みを演出します。拡散の傾向にある展開に対してややイージーな精神論で畳んでいるところはありますが、存在感あるキャストのアンサンブルが誰しもに通ずる青春の悩みという主題に説得力を与えている一作です。
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