ケロケロみん

8 1/2のケロケロみんのレビュー・感想・評価

8 1/2(1963年製作の映画)
5.0
フェデリコ・フェリーニ。イタリアの映画はもっぱらジャーロかゾンビか謎の映画ばかりでフェリーニ監督作は初めて。ストーリー構造が素晴らしかった。滑らかに滑り出し、どんどん膨らんで大きな波となってクライマックスに向かう感じ。43歳のグイドは体調の悪い偉大な監督さん。温泉治療と新作の構想を練るため草津(比喩)に行くが外野がやいのやいの煩い。グイドの現実逃避は過去の回想になり、あるいは映画の構想になる。さらに映画の中の映画なのか映画の中の映画の中の映画なのか…
映像面ではコントラストが強くとてもモダン。女優の眉毛に関心を持った。自眉を全て抜き、上から描くのが60年代初頭のトレンドときいたが、そこをうまく利用して野生的なタイプの女性は自眉をフサフサさせ、気取った奥様は新月みたいな細眉だったり、元気な女の子はカンマみたいだったり見てて飽きなかった。
この映画で1番楽しかったのは年末にやっていたダウンタウンの笑ってはいけない何とかで「丸腰刑事(デカ)」というコントによく似たシーンがあったこと。その鮮やかな手さばきは何ごとかと。まっちゃんは娘のことばかり話すようになってからつまんなくなりましたが練習を重ねた若手の芸は楽しい…映画と関係ないや….
やかんはといえば、リネンを乾かすための張り型?のようなドームがグイドの生家の中にあり、そこにやかんがぶら下がっていました。台所ではなかったので意外でした。
この映画のレビューの間アイコンを「チネチッタ」の5番スタジオの写真にしました。フェリーニ監督はこのスタジオを好んで使い、この映画もほとんどここで撮影しているようです。この映画の温泉地も、「カサノバ」の噴水もみんな、ここに作られては解体していったものだそうです。フェリーニ監督は撮影中はチネチッタに寝泊まりしていたそうです。今は地下鉄の駅がすぐ前まで来ていてとても便利です。