みおこし

摩天楼を夢みてのみおこしのレビュー・感想・評価

摩天楼を夢みて(1992年製作の映画)
3.5
むかーし、多分小学生の時に観たんだけど、当時つまらなさすぎたので再鑑賞。(当たり前だ)
私の不動のオールタイムベストアクター、ジャック・レモンの晩年の作品。だいぶおじいちゃんだなあ。
この豪華キャストっぷり。アル・パチーノ、ジャック・レモン、ケビン・スペイシー、エド・ハリス、アラン・アーキン、ジョナサン・プライス、そしてチョイ役のアレック・ボールドウィン。すんごい。あ、女子が一切出てこない!!(笑)

もともとピューリッツァー賞を受けた戯曲の映画化とのこと。不動産営業に勤しむ5人のサラリーマンと、それを取り巻く上司と顧客の皮肉に満ちた、ちょっぴりサスペンスフルな物語。戯曲の映画化とのことでお分かりかと思いますが、もうひたすらマシンガントークです。
いつの時代に作られた戯曲か知らないけど、とにかくFワードの連呼。お互いに罵りまくり。レモン先生まで、このクソ野郎が!!と怒鳴り散らしてて、1960年代の上品で可愛らしいレモン先生が好きな私としては違和感の極み(笑)。罵り大賞はもちろんアル・パチーノ様ですが、罵られ大賞は意外にもケビン・スペイシー。みんなにあそこまでボロクソ言われて傷ついちゃうどころか、顔色1つ変えない感じがもうさすがです。でも、それにしてもあんなに罵られたら心が傷ついちゃうよ、とスペイシーのメンタルを終始心配せずにいられなかった(笑)。

這ってでも営業して成績上げろや!さもなくばクビにすっぞ!と本社からの鬼上司ボールドウィンに怒鳴られまくるおじさま方。新入社員、しかも営業職に近い職種の私としては耳が痛かった...(笑)。初見のときは小学生だったけど、今はどれだけ営業が大変かを知ってるから胸に刺さる。
アル・パチーノやジャック・レモンが電話のときだけ声のトーンがよそ行きに変わる感じもリアルだったなー(笑)。というかこの人たちから営業電話かかってきたら、商品やサービス内容関係なくいくらでも契約結ぶわ!!!

でもこの職場、おわかりのように連帯感のかけらもない。互いに騙し騙され、自分の利益のことしか考えない、実際客のことを考えてるように見えて全くそれも無し。成績を上げることに囚われ、結局本質を見失ってるイタいサラリーマンたちの悲喜こもごもが描かれてました。うーん、こんな職場だったら働きたく無いなー。いつか私も本質を見失ってしまう時が来てしまうかもしれないから、すごく大切なことをこの映画に教えてもらった気がする。邦題の『摩天楼を夢見て』は、営業成績を上げまくった先=摩天楼のことなのかしら?かなり良い邦題だと思う...!!

名優たちのキレた演技と、営業成績への狂気が炸裂した秀作でした。ラストはなんか「あーあ」って感じ(笑)。教訓をありがとうございます。
あ、エド・ハリスとアレック・ボールドウィンの無駄遣い感がハンパなかったです。
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