としこし

存在の耐えられない軽さのとしこしのネタバレレビュー・内容・結末

存在の耐えられない軽さ(1988年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

目当てのDVDがレンタル中でなかったので、何となく手に取ったのを借りた。なんの予備知識もない。普通に恋愛映画かなーと思ったら、予想以上に社会派。
オープニング過ぎあたりにパッケージ見たら、なんと173分!絶対に最後まで見られない…そう思ったのだけど、結局最後まで見てしまった。

良かったのは映像、音楽。プラハの春ってあまり詳しく知らなかったのだけど、民衆が立ち上がり、そして弾圧されていくまでの映像はその時代の雰囲気がよく伝わってきた。社会主義に傾倒し、他の思想を認めない恐ろしさ。何より、一度亡命後帰国したときにパスポートを取り上げられる描写が怖かった。片道切符で戻ったらもう逃げる事はできない。自由のない恐怖。

あと良かったのは女優さん達。ジュリエットビノシュは年齢上がってからの演技しか見た事なかったので、若くて純粋でキラキラしたビノシュが新鮮だった。それよりもレナオリンという女優さん表情での見せ方がすごいと思った。同じ映画なのにとんでもなく若々しく見えたり、数年分老け込んだように見えたり。けっこう俳優陣の顔のアップを継続して撮って、その中で感情の変化を見せるような演出が多かったと思うけど、ピカイチだった。

苦手だったのが主役の俳優さん。。ダニエル・デイ=ルイスさん、、、すごいキメ顔してくるんだけど、それが一昔前の女子高生がプリクラ撮るときは絶対この角度!みたいなのがあったのと同じで、やや下向きで目だけ上目遣いという角度、その一本で勝負って感じ。それがそもそもあまりかっこいいとは思えなかったけど、女の子口説くとき必ずこの角度になるのが途中からギャグのように見えてしまって…あと、口説き方というかそのキメ顔が知り合いの遊び人のイギリス人とそっくりで…もう無理ーってなった。
あと、プラハが舞台なのにみな英語って普通なの?そこがとても気になってしまって。映画の本筋には関係ないけれど。


でもラストは好きだったな。直接的に死を見せる訳ではなくて、サビーナの感情と、死の直前の2人の幸せな様子で終わる。
大きな時代の変化の中でのミクロな個々の幸せみたいなのを見せてもらった感じで見てよかった。
としこし

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