くるみ

肉屋のくるみのレビュー・感想・評価

肉屋(1969年製作の映画)
5.0
同年制作された「野獣死すべし」ではジャンヤンヌを醜悪度MAXなブルジョワ男として造形しておきながら、今作では物腰の柔らかい平凡な肉屋の店主として据えた、シャブロルの采配がかなりクール!
小さな町で起きた連続殺人事件。平穏な日常の隣に存在する殺意と恐怖。珍しくブルジョワ描写がなく地味なスリラーであると見せて、ある小道具を登場させる事でストーリーがぐっと活性化していく不貞の女的な展開が面白い。
謎解きは二の次!心理や感情の細部の演出に拘りつつも決して全てを明確にはしない為、絶妙な余白に心刺激されるドラマでもあると思う。独創性がクセになってくるシャブロルミステリ、観てないの沢山あるけど私にとって一番のお気に入り。
くるみ

くるみ