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ローラーガールズ・ダイアリーのhebのレビュー・感想・評価

4.4
保守的な親と妙に理解のある友達、田舎町で鬱屈した日々を送る平凡な17歳。
要素だけ抜き出せばこの手の青春モノお決まりのパターンですが、今作はローラーダービーというスポーツの存在によって一味も二味も違う魅力を獲得しています。
このローラーダービーの世界がとにかくファニーでエキセントリックで猥雑!昼間何やってるかよく分からない個性的なお姉さま達に揉まれ、雰囲気出しまくる謎のイケメンとあっさり恋に落ちてしまうのもあるあるな流れ。全く馴染みのないスポーツだけど試合シーンの撮り方もなかなか凝っていて迫力十分、挿入曲も併せて単純に盛り上がります。
味方に腕を引っ張って押し出してもらう「whip」という必殺技は、ローラーダービーと出会う事で殻を破り自己実現を達成する主人公のストーリーをそのまま表しているかのようです。
弱小チームが真剣に競技と向き合い駆け上がっていくスポ根ものとしての側面も持っていて、あらゆる角度から楽しむことが出来る作品になっていると思います。
よくある筋書きとはいえ、とてもしっかりした構成で終盤になるほど彼女を応援する気持ちが強まるし、演出も抑えすぎずやり過ぎずの絶妙な匙加減で素晴らしい手腕だなと思わされます。

最大の魅力は主人公を演じたエレン・ペイジのなんとも言えないキュートさである事に間違いは無いと思いますが、敵役としてこれ以上無い存在感を放つジュリエット・ルイスのキャスティングもお見事だし、ラストに手紙を読んだ後、一瞬流した涙をグッと拭ってすぐに「ファイター」の顔に戻るお母さんもまた最高にかっこよかった。
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