爽

殺しの烙印の爽のレビュー・感想・評価

殺しの烙印(1967年製作の映画)
3.8
鈴木清順作品はツィゴイネルワイゼンぶり。
清順作品には台詞をわざと上滑りさせてるような感じがある。
林海象さんが解説で仰ってたけど、カットとカットが繋がらない部分も多く、相手の返答を待たないダイアローグのような、空白に投げつけるような芝居が多い。
だからこそエロティックであり、耽美的な印象が残る。
分かりやすい設定なのにあえて説明せず、分からなさで画面に釘付けにさせる手腕は見事。
設定のディテールを拾いきれず、Wikipediaを読んで、あぁそういうことだったんだと納得。

思ったよりはアクションが少なく、えっそんな射程距離ハンドガンで撃ち抜くの?みたいなシーンも多いので、誰かリメイクしてサスペンスマシマシにして欲しい。

宍戸錠がただの2枚目じゃなく、臆病な面も見せていたところが良かった。かつてのジェームズボンドもこうだった。
やたらめったら強いダニエル・クレイグやマーベルのヒーロー集団もカッコいいけど、親しみを持てるのはこっちだな。

あと、セックスシーンと戦闘シーンがクロスする007ではお馴染みのシークエンスもあり、死と隣り合わせだからこそ生の温もりを求めるというのはやはり真理なのかなと。

設定を全部理解した上でもう一度観てみたい!
爽