アトミ

殺しの烙印のアトミのネタバレレビュー・内容・結末

殺しの烙印(1967年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

80点

殺し屋ランキングナンバー3の花田五郎(飯の炊ける匂いが何よりも好き)は妻マミとタクシーに乗り込む。
タクシー運転手(になりすましてる)春日は五郎に「ドジってクビになったが手柄を立ててもう一度組織に戻りたいから手を貸してほしい。」と頼む。

五郎はある組織の幹部を護衛し、相模の海辺から長野の山まで送り届ける500万の仕事を引き受ける。

夜。
五郎と春日は指定された車を駐車場に取りに行く。
が、運転手は何者かに殺され後部座席に転がっていた。
2人はとりあえずそのまま車を走らせる(死体は後で処分)。
春日はプロの仕業だと確信。ナンバー4のコウ、ナンバー2のサクラ、幻のナンバー1(誰も顔を見たことがない噂だけが飛び交う殺し屋)の誰かだと疑いをかける。

五郎と春日は海辺で「お客さん」を乗せ出発。
と、2人を尾行する車。と思いきやただの若者(素人)。
五郎はTELで依頼者に現在地を報告。
2人は順調に旅を続ける。

が、車幅ほどしかない狭い山道でトンネル入口を車で塞がれてしまっていた。
五郎はそのまま車をぶち当てて停車。
殺し屋との銃撃戦が始まる。
ビビりまくって慌てふためく春日に五郎は喝を入れ「お客さん」をガードさせる。
何とか敵を食い止めながらも恐怖のあまりついにとち狂ってしまった春日はナンバー4のコウに飛びつく。が、撃ち殺されてしまう。

五郎は近くに危険なナンバー2のサクラもいるはずだからと「お客さん」を隠れさせ、移動手段(車)を探しに行く。
と、銃声が鳴り響いたので五郎は「お客さん」のもとに戻ってみると、2人の殺し屋を撃ち殺していた(額の中心を1発で撃ち抜く腕前)。

もしかしたらコイツ(お客さん)はプロかもしれないと疑う五郎。
車を奪取し先を急ぐ。
途中、2人はナンバー2のサクラに襲われるが撃破。
五郎は「お客さん」を無事送り届けた。


帰宅中の五郎。
車がエンコ。通りがかった若い女に乗せて貰う(大雨でオープンカー。ずぶ濡れ女)。
男嫌いで夢は「死ぬこと」だと語る女。
ルームミラーにぶら下がってるカーアクセサリーは首に針がぶっ刺さってる鳥の死体。


自宅に戻った五郎は炊飯器から沸き立つ飯の匂いを嗅ぎ、オープンカー女を思い浮かべる。
興奮した五郎はシャワーから上がったマミを抱きまくる。そして交尾に明け暮れた。


交尾にも飽き、マミにも興味なくなって来たころに「4人を仕留める」仕事が入り、順調良くこなして行く。
が、税関士、眼科医、宝石商と3人始末した頃にマミの浪費にブチ切れる。
そしてオープンカー女が自宅に現れた(女のショットは大雨)。
女の名は中条ミサコ。
「ある外人を殺して欲しい。報酬150万」と依頼してきた。
それはミサコがターゲットと一緒にホテルから出来きた時の3秒間しか仕留める隙がないという難易度の高い依頼だった。


当日。
ホテルからターゲットを狙う五郎はスコープに蝶が止まった事で通行人を撃ち殺してしまう大チョンボ。
ニュースも流れ、2人は警察に追われることとなる。

ミサコは五郎がランク外に落ち、命を狙われる立場になったことをあらためて口にし、去った。

五郎は自宅に戻る。
バスルームに入った五郎はシャワーが大雨の様に見えてビビる。
全裸のマミが出迎え、バスルームで交尾。
大雨の様にシャワーから湯が出ていた。

交尾を終え、五郎はほとぼり冷めるまでのトンズラ準備に入る。
と、マミが銃を発砲。銃弾は五郎の腹部に当たりぶっ倒れる。
マミは全裸のまま逃走。
と、部屋から炎が上がる。
ふらつきながら立ち上がった五郎は部屋を脱出。
ベルトのバックルが銃弾を防いだのだった。


何とか逃げてきた五郎。
公園の噴水近くにいるミサコに「俺は死ななかったぞ!」と報告。
いきなり部屋の中(ミサコの部屋?)に場所が変わり、五郎はミサコの前で倒れ込む。
ミサコは五郎の血が手についたとシャワーで洗い流す。
五郎はミサコを銃で脅し、裸になれと催促したが、ミサコは「針」を取り出し、クールに脅し返す(ミサコは五郎の命を狙っている)。
「腹が減った!米が食いたい!」と倒れ込む五郎。

昆虫(蝶)の標本が壁中に刺さっている部屋で五郎は飯を食う。
が、「米」がないのでイラつく。
「米を買って来い!俺をなめんなよ!お前なんかいつでも殺せる!」(が、ミサコの色気にやられてる)。
五郎はミサコをソファに押し倒して体を奪おうとしたが、大量の昆虫死骸を掴まされる(ソファにも昆虫死骸がいっぱい)。
ミサコは銃を構える。五郎は隣の部屋へ逃げる。ミサコはドアに発砲。
五郎はシーツを結び、ベランダから脱出。
したかと思ったらミサコの前に戻って来て銃を取り上げ、服を脱がしファック。
と、さっきまで元気に鳥かごにいた2匹の小鳥が死んでいるのに気づいた五郎は「こんなことに付き合うのはもう真っ平だ!」と部屋を後にした。


後日。
五郎はミサコを殺すためミサコの部屋を訪れる。
部屋のレイアウトは「一般的」なものに改装されていた。
こんな顔じゃ死ねないとミサコはお化粧直しに部屋を離れる。
と、五郎は観葉植物にライフルが隠してあるのを見つけ、銃口に土に刺し、つめる。
やっぱ五郎はミサコを殺すのを止めて部屋を出て行こうとしたが、ミサコは植木ライフルを五郎に向ける。
五郎は銃口の土をミサコに教えたがミサコは「死んでも構わない」と引き金を引こうとしたところで五郎がライフルを奪う。

部屋を後にした五郎は「ターゲット(ミサコ)を殺せない」ことを悔やんでいた。
「鳥、蝶、水のモチーフ」が五郎を惑わせる。

五郎は道端で倒れていた。
またミサコの部屋へ戻る。
箱に鳥、蝶の死骸が保管してあった。
メンタルをやられた五郎はマミにTELし、部屋へ。
マミは五郎に甘えたが、殺しに来た事を知り発狂。「組織の命令。外人殺害を失敗した五郎が悪い!」と言い訳したが五郎に撃ち殺される。


五郎はターゲットの部屋で酒を飲みながらターゲットを待っていた。
ターゲットがドアの鍵を開ける音がしたので身を潜める五郎。
が、ターゲットは別の殺し屋に額の中心を撃ち抜かれて死んでいた。


夜中。
五郎は千鳥足で自宅へ戻る。
と、セッティングされていた映写機が動き出し、五郎を殺さなかったゆえ組織の人間から拷問を受けるミサコの姿が映し出される。
組織の人間は五郎に「15時に防波堤に来い」と命じた。


翌日。
12時前。防波堤に現れた五郎。
仕掛けを仕込む。

いったんバーで時間つぶし。と、男からTEL。
男「女の敵討ちか?報酬ゼロのそんな仕事、プロとして恥ずくないか?」
五郎「そういう運命なんだ。お前は誰だ?」
男「てかナンバー1は誰だ?」


15時。
五郎は波止場へ。
が、銃撃を浴びて車で先に進めない。
五郎は車の下に潜り込み、仕込んで置いたロープを車に取り付け、それを引っ張る(車が動き、五郎は車の下に隠れながらほふく前進で進む)。
そして待ち伏せていた5人の殺し屋をぶち殺す。

勝負に勝った五郎はヒャッハー状態。
が、TEL男が現れる。
幻のナンバー1の男。以前五郎が護送したあの「お客さん」だった。
ナンバー1は五郎の始末を請け負っていたが、今日は五郎をミサコ宅に送り届けた。


五郎はトンズラの準備をするが、ナンバー1からTELが鳴り「部屋に閉じこもってる方が長生きできるぞ。」と警告を受ける。

籠城する五郎。何度も何度もTELするナンバー1。
五郎を常に監視している(部屋の中で隠れてもバレる)。
が、五郎はナンバー1の居場所を突き止められない。
寝ることもろくに出来ず狂い始める五郎。
突然、車を走らせ湖の見えるレストランで飯を食う。
当然ナンバー1からレストランにTELあり。
正直に理由を話す五郎。

ミサコ宅に戻った五郎。
当然、ナンバー1が部屋に現れる。
お互い銃を突きつけた状態でナンバー1は当分の間ココで一緒に暮らすと言い出した。

お互いの銃をテーブルに起き、ベッドに片腕を縛った状態で一緒に寝る2人。
ナンバー1は目を開けたままイビキをかいている。
五郎は眠れたもんじゃない。
そんな五郎をナンバー1は「まだまだ訓練が足りない(甘ちゃん)」だと笑う。

と、よく分からん2人の生活が続いたが、ナンバー1は「これがナンバー1のやり口だ(精神的に追い詰める)。明日から3日間、午前1時~3時まで後楽園ジムで待つ」とメモを残し、当然消えた。

五郎は届いた小包(ナンバー1から)を開ける。
と、骨壷の中にフィルムがあり、映写機で映した。
そこには殺されたと思っていたミサコの姿があった。
ラジオ?から流れてきたボクシングの試合を聞いた五郎は自分がナンバー1になることはおかしい事じゃないと気づき、笑顔が戻る。


後楽園ジム。
五郎は逃げなかった。
午前1時。
息が詰まる程の緊張感のまま3時を向かたが、ナンバー1は現れない。
と、靴がパクられた事に気づく。
と、リング上に置かれたテープレコーダーから「これがナンバーワン のやり口だ。敵を焦らし、疲れさせて殺す。お前の運命は窮まった。」とナンバー1の声がリピートされる。

五郎は「ナンバー1は誰だ!」と何度も大声で叫ぶ。
と、現れたナンバー1に銃で撃たれ五郎はリング上で倒れる。
勝利を確信し油断したナンバー1は起き上がった五郎に撃たれる。
「ナンバー1は俺だ!」リング上で叫んだ五郎はナンバー1からの銃撃を受けてしまう。
ナンバー1死亡。

「ナンバー1は俺だ!」五郎はリング上で発狂する。
と、現れた何者かを銃で撃った五郎。
ミサコだった。

ミサコを撃ち殺してしまったことも気づかないまま五郎は「ナンバー1は俺だーっ!」と叫び、力尽き、リングから転落した。






というお話。
こってり昭和歌謡「殺しのブルース」から始まるわりに、JAZZでハードボイルドさを演出。
しかし後半に向け何一つハードボイルではなくなりコメディーが強くなる。
コレがこの映画の味。

宍戸錠の飯の炊ける匂いがたまらなく好き→嗅ぐ(癖)は「緩和」。
序盤の空き地でのカーアクション。散々リハしたタイヤ痕が残っているのも何やら馬鹿っぽい。
どーも「滑稽さ」が目立つ映画ではある(後半は滑稽そのもの。コメディー)。
殺し屋同士の順位争いがそもそもの「滑稽」であるゆえの狙いならかなりイカつい。

中盤、ミサコとの絡み辺りはシーンやカットを含め、精神面の表現(メタファー)は好み。

別に殺し屋に限らず人間の生き様なんてのは滑稽そのもの。
そういうメッセージが取れるかな。
アトミ

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