そりっどあいぼりー

ザ・フライのそりっどあいぼりーのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・フライ(1986年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

クローネンバーグなので、特殊メイクなどは悪趣味で素晴らしいだろうと思っていたが、これほど傑作とは。とにかく脚本も演出も良く出来ているし、B級映画とバカにされるいわれは全くないテーマ性を帯びている。一応「ハエ男の恐怖」という映画のリメイクのようだが、クローネンバーグが過去に発言しているように、確実にカフカの「変身」を意識しているだろう。カフカでは昆虫になったザムザを通して家族の不和を描いていたが、この映画では、終盤になんと"家族そのもの"が文字通り融合することによって、不和を取り戻そうとするというすごい展開になる。その斜め上の発想に度肝を抜かれた。また、変身では、家族はザムザに対して毛嫌いという対応を最後まで取り続けるのだが、それがとにかくカフカ的な理不尽さだった。一方、この映画では愛による決着をちゃんとつけているところに、クローネンバーグの思いやりのようなものを感じたのだった。