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ザ・フライの映画みますのレビュー・感想・評価

ザ・フライ(1986年製作の映画)
4.8
【備忘録】

1958年公開「蝿男の恐怖」のリメイクを、
業界筋からカルト的人気を博し、ボディ・ホラーなるジャンルを確立させた奇才デヴィット・クローネンバーグ監督が撮った監督最大にして最高のヒット作。

《隣り合う2つのポッドの片方に収めた物体を細胞レベルで分解し、もう片方へ送った後、元の状態に再構築する》という物質転送機「テレポッド」を開発中のセス(ジェフ・ゴールドブラム)
成功すればノーベル賞確実と言われているのに、無機質の転送は成功済みだが有機物の転送には失敗続き。

パーティで知り合って一目惚れした女性記者ヴェロニカ(ジーナ・デイヴィス)をなんとか口説き落とし お持ち帰り。
彼女自身、天才だけど子供ような純粋さを持ち合わせたセスに惹かれすぐに2人は深い仲に...。
彼女との出会いで行き詰まってた研究にひらめきが起こり、遂に成功への突破口を見つけます。

ある夜、彼女と彼女の上司の関係に嫉妬し酒をしこたま飲んだセスは、やけくそで自らを実験体とした転送を行います。

一見成功したかのように見えた実験でしたが、彼の入ったポットには1匹のハエが紛れ込んでました。
彼は自身とハエを細胞レベルで分解し融合させてしまったのです。

その日を境にセスの身体には変化が現れ始めます。

一晩中SEXしても疲れず身体中には精力が漲り常に甘いものを欲するようになります。
突然背中に生えた剛毛より硬い毛...
鏡を覗き込みやっと自身に起きてる『変化』に気づき始めました。

髪や歯が抜け、爪が取れ、耳が削がれ、皮膚が裂け胃液で溶かした食物を取る。遺伝子レベルで徐々に怪物に変貌して行く様をSFXを駆使したメーキャップが素晴らしい👏

残酷な"虫"としての惨たらしい姿、怪物と化して自分を傷つけるかもしれない、そんなモンスターに「彼」を見つけてしまうヴェロニカの苦悩と葛藤に息も絶え絶え号泣😭
そんなヴェロニカに「愛」を見たセスの究極の選択は...?

「I can't...I can't...」

もはやホラー映画ではなく、
崇高なラヴストーリーなのである。