まこぞう

人斬りのまこぞうのレビュー・感想・評価

人斬り(1969年製作の映画)
2.4
1985年のリバイバル・ロードショウ以来の再観。何であのタイミングでリバイバルされたのだろう…?

フジテレビ共同製作で松竹が配給し、勝新(大映)、裕次郎(日活)、仲代達矢(一応はフリーだけど東宝の顔)が出演という斜陽期の徒花のような複雑なオールスター映画。この頃はまだ五社協定があったはず。あとは東映の高倉健が出てれば完璧だったけど、代わり(?)に三島由紀夫が出演でボディビルな身体と切腹までをも披露。

30年前も長い映画だなと思ったけど、大人になった今観ても長いものは長かった。筋は全く忘れていたけどラストシーンだけは鮮明に覚えていた。当時の私には相当なインパクトだったんだろう。まあ、今観ても相当だけど。

勝プロ作品らしく、勝新が白目剥いたりの百面相演技で好きな人にはタマらないはず。フンドシの早着シーンまである。

勝新演じる岡田以蔵は素直過ぎるがゆえに何の罪悪感もなく命令されるがままに人を斬っていく。他にも子供のように娼婦に甘えるところがあったりと、まさに勝新のためのような役柄でバッチリ。それが裏目に出て一つ一つのシーンが長過ぎる結果になってしまっているような気がする。

五社英雄監督自身が開発したという人斬音が他の映画よりもデカいような気がしたけど、それはこの映画では良い効果になっていた。マカロニウエスタンばりに血糊を使った怖いくらいに迫力がある殺陣も監督らしい。

忠義を尽くしても結局は捨て駒という社畜サラリーマン(?)に優しい教訓話というのも定番かつ鉄板。

配役も演出も筋も良いのに大傑作なれなかったのは上記したように間延びした編集がとにかく悪かったんだと思う。
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